本日の東京新聞朝刊に,トランプ大統領が予告していたメキシコからのすべての輸入品に対する追加関税を見送ったとの記事が掲載されていた。
人件費の安いメキシコにはゼネラル・モーターズなどの米国メーカーだけでなく,トヨタ,日産,ホンダ,マツダの4社も工場を置いている。そのうちの多くが米国に輸出されている。米国とカナダ,メキシコの3国は北米自由貿易協定(NAFTA)で,域内での部品を調達し,域内で組み立てた自動車は関税を免除するというルールがある。しかし,トランプ大統領就任後,その調達比率を巡って米国はNAFTAそのものの見直しを求めてきた。
不法移民対策をちらつかせながら,自動車だけでなく,バナナやアボカドなどの農産物を含めた全ての輸入品に関税を課すというのは,これまで積み上げてきた議論や合意を強引に崩すものである。
5月に日本史の授業の中でも取り上げたが,1941年11月の日米交渉で示されたハル・ノートを巡って,当時の日本政府は拙速に開戦へとなだれ込んで行った。盗聴によって交渉過程が米国にリードされていたとの意見もあるが,ここ最近のトランプ大統領の交渉過程は,軍事力を過信した戦前の日本政府の外交姿勢を彷彿させる。