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「日本最西端 260㍍北北西へ」

本日の東京新聞朝刊に,日本の最西端を与那国島の西沖にあるトゥイシに変更するとの記事が掲載されていた。国連海洋法条約で,沿岸国は自国の基線から200海里(370km)内の水産や鉱物資源をに関する独占的な権益を有する排他的経済水域(EEZ)が認められている。東シナ海において改めて日本のEEZを知らしめようとするものである。しかし,記事にある通り,やっと満潮時にやっと顔を出すような岩を日本の国境線とするのはあまり好ましい判断ではない。このような大勢に影響がないのに,せせこましい国境認定をしてしまうと,他国の政策を批判ができなくなる。すでに沖ノ鳥島のような「無理」をしているのに,同じような無理を重ねることに意味があるのだろうか。

ちなみに日本最南端は沖ノ鳥島,最東端は南鳥島,最北端は択捉島となっている。沖ノ鳥島の現実の姿と,容易に足を踏み入れることの出来ない択捉島の歴史は確認しておきたい。

「香港 100万人デモ」

本日の東京新聞夕刊に,香港で「一国二制度」崩壊への懸念から,1997年の香港返還後最大のデモが行われたとの記事が載っていた。デモの規模もさることながら,デモを規制する警察や香港当局の姿勢に着目したい。

香港と言っても,10代の若い人にとっては,上海や杭州といった沿岸部都市の一つという認識しかないかもしれない。返還直後こそ日本のメディアは歴史の転換点だと囃し立てたものの,その後の香港の政情に関する報道はめっきり少ない。日本のマスコミは,中国共産党の政治的抑圧が喧しい新疆ウイグル自治区やチベット自治区,発生30年を迎えた天安門事件などをしっかりと取り上げてほしい。

また,教科書ではあまり取り上げられないが,1941年の12月から1945年の8月まで,香港は日本の占領下にあった。1941年12月のシンガポール(昭南島)攻略と合わせて覚えておきたい。香港の隣にある澳門(マカオ)は第2次大戦中に中立保っていたポルトガルの租借地だったため,日本軍も手を付けていない。

「メキシコ制裁関税見送り」

本日の東京新聞朝刊に,トランプ大統領が予告していたメキシコからのすべての輸入品に対する追加関税を見送ったとの記事が掲載されていた。

人件費の安いメキシコにはゼネラル・モーターズなどの米国メーカーだけでなく,トヨタ,日産,ホンダ,マツダの4社も工場を置いている。そのうちの多くが米国に輸出されている。米国とカナダ,メキシコの3国は北米自由貿易協定(NAFTA)で,域内での部品を調達し,域内で組み立てた自動車は関税を免除するというルールがある。しかし,トランプ大統領就任後,その調達比率を巡って米国はNAFTAそのものの見直しを求めてきた。

不法移民対策をちらつかせながら,自動車だけでなく,バナナやアボカドなどの農産物を含めた全ての輸入品に関税を課すというのは,これまで積み上げてきた議論や合意を強引に崩すものである。

5月に日本史の授業の中でも取り上げたが,1941年11月の日米交渉で示されたハル・ノートを巡って,当時の日本政府は拙速に開戦へとなだれ込んで行った。盗聴によって交渉過程が米国にリードされていたとの意見もあるが,ここ最近のトランプ大統領の交渉過程は,軍事力を過信した戦前の日本政府の外交姿勢を彷彿させる。

「出生率1.42 3年連続減」

本日の東京新聞朝刊に,2018年の国内の合計特殊出生率1.42に関する記事が掲載されていた。2018年生まれの子どもは戦後最低の91万8397人となり,出生率こそやや下げ止まっているものの,人口減に歯止めがかかっていない。

別掲の解説記事の中で,「2人めの壁」についての指摘されている。住宅費や教育費の負担が大きく,2人めを諦めざるを得ない夫婦が多いという。

少子化対策に特効薬はなく,厚労省担当者のコメントにあるように「子どもを産みたい人が,安心して産み育てられるような施策を講じていく」という総花的なものにならざるを得ない。

2人めを諦める理由として住宅費が挙げられているように,少子化の原因の一つは首都への一極集中である。東京への過密化を減らそうと,首都圏の大学定員の厳格化が始まったが,混乱を来しただけであり,所期の目的とはかけ離れていることは受験生の熟知するところであろう。

「マンハッタン 海面上昇危機で沿岸埋め立て構想」

本日の東京新聞夕刊に,米ニューヨーク市のマンハッタン島が海面上昇により,日常的に水に浸かる可能性があり,延楽埋め立て構想が検討されているとの記事が掲載されていた。

ちょうど,本日の授業で環境難民としてモルディブやツバルが海面上昇により国土水没の危機に瀕しているとの内容があったばかりなので,新聞のタイトルが目に飛び込んできた。

今世紀末に海面上昇は2メートルを超えるとの可能性も指摘されており,日本も対岸の火事ならぬ”水事”ではない。日本は海面上昇だけでなく,現在でも津波や高潮の危険に晒されている。日本の最南端である沖ノ鳥島など2メートルも海面が上がってはひとたまりもないだろう。