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「アヤソフィアで初の金曜礼拝」

本日の東京新聞朝刊より。
1学期のプレゼンでトルコについて発表した班があり、記事にあるアヤソフィアを取り上げていた。アヤソフィアとはトルコのかつての首都イスタンブールにある世界遺産である。記事の最後にもあるが、ビザンツ帝国時代にギリシャ正教会の総本山として建築され、オスマン帝国征服後は、イスラム教のモスクに改築されている。第一次世界大戦後にオスマン帝国が滅亡すると、後を継いだトルコ共和国では、ヨーロッパとの関係修復を狙い、宗教色を排した博物館と位置付けられてきた建物だ。

現トルコ政権を担うエルドアン大統領は、タカ派的発言を繰り返すことで、一部の国粋主義者の人気を集めてきた人物である。数年前からシリアとの国境付近に滞在するクルド人を掃討しようとシリア国内にまで進攻し、数多くのシリア難民を生み出す結果を招いた。しかし、トルコ国内ではシリア難民をもう受け入れられないと、シリア本国への強制帰還やEUに押し付けるなどの排外主義的政策が目立つようになってきた。

人口8,200万人の大国トルコが、EUとも中東とも距離を取ろうとする中で、人口の大半を占めるイスラム教の一部の支持者を喜ばせる政策の一つが、このアヤソフィアの「モスク化」である。周辺の国に挑発を繰り返す一方で、国内で愛国主義を扇動する手法は、戦前の日本と同じである。親日国で知られる同国が危険な道に進まないことを願う。

「中国総領事館問題 追加の閉鎖『可能性ある』」

本日の東京新聞朝刊より転載。
新聞だけでなくテレビでも米中問題が大きく取り沙汰され、株価や為替も大きく変動しています。米中のいざこざは、トランプ大統領就任後ずっと続いています。流れを押さえていくと、トランプ大統領は、米国の知的財産や特許技術が中国に盗まれているということを一貫して主張しています。

1970年代以降、東アジアや東南アジアの多くの国で、日本や米国の技術を活用した重工業の発展を経済政策の中心に据えていました。アジアNIEsやASEANなどの言葉を聞いたことがあるでしょう。中国は1990年代まで発展途上国だったのですが、安価で豊富な労働力を背景に「世界の工場」として、一気に先進国の仲間入りを果たしてきました。

中国は共産党が管理する国家なので、外資系企業が自由に中国で現地法人を立ち上げることはできません。中国企業と合弁会社を立ち上げる必要があります。また出資比率は50%を超えることはできず、事実上中国政府の言いなりとなってしまいます。それでも他国に比べ各段に人件費などの固定費が安かったため、世界中のブランドが中国に進出してきました。

但し、良いことばかりではありません。撤退の際には、合弁会社として保持していた技術情報の大半は、すべて中国当局に接収されてしまいます。中国はそうした先端技術を国レベルで蓄積していき、IT企業を中心に世界に打って出るようになりました。トランプ大統領の批判もそうした流れの中で理解すると良いでしょう。

トランプ大統領もコロナ禍で失点したので、お得意の「アメリカファースト・中国悪者説」で支持率を回復しようとする魂胆が見え隠れしています。昨年までは貿易が焦点だったのですが、今年に入ってからは、香港やチベット自治区、新疆ウイグル自治区などの政治問題・人権問題で中国政府に揺さぶりをかけています。

米中に挟まれた日本としては、どちらに対しても不必要に加担することなく、批判すべき点があれば、両大国に物を言えるポジションを確保しておきたいところです。韓国や台湾、オーストラリア、ASEAN諸国との緊密な外交戦略が求められるところです。

いよいよ2学期から東南アジアに入っていきますが、教科書の内容をなぞるだけのつまらない授業は止めましょう。米中の確執に割って入る、第3極としての東南アジアの可能性に言及できたらと思います。
また、生徒の皆さんには、大学や専門学校での専攻を問わず、使える英語の勉強をしてください。1日2時間は英語の勉強に充ててください。

 

「南スーダン選手 来夏まで前橋滞在」

本日の東京新聞朝刊に、東京五輪・パラリンピックに向けて長期合宿中の南スーダンの選手を来夏まで落ち着いた環境で練習に取り組ませたいと、前橋市がふるさと納税制度で応援するとの記事が掲載されていた。

前橋市の取り組みに敬意を表したい。というのも南スーダンは2011年に独立した最も新しい国である。場所は地図帳38ページで確認しておきたい。南スーダは「世界でもっとも脆弱な国家ランキング」(2020年度)で、イエメン、ソマリアに次いで世界第3位にランキングされている国である。2011年にスーダンから独立したものの、アビエイ油田を巡って国境が確定されておらず、スーダン軍の攻撃や、反政府組織のテロ活動、政権クーデターが続き、多くの難民が発生している「破綻国家」である。外務省のデータによると、経済成長率は−13.8%(2016年)、物価上昇率は273%(2016年)となっている。一人あたりのGNIはたった390ドルに過ぎない。日本の100分の1である。

日本と国交はあるものの、政治経済における特段の交流はない。だからこそ、スポーツで支えていこうとする前橋市の判断は素晴らしいことだと思う。東京五輪が開催されなくとも、こうした民間交流の成果はいつか思いもよらぬところで実を結ぶはずである。

「中国 新たな領有権争い」

本日の東京新聞朝刊に、中国が国境を接するヒマラヤ山脈の小国ブータン東部の「サクテン野生生物保護区」の領有権を新たに主張し始めたとの記事が掲載されていた。ちょうど学校が再開された先月から今月にかけて、中国とインドの国境をめぐる衝突がニュースになったので、授業の中でも新聞記事を紹介したところである。

授業中に中国の地図を描いてもらいました。国境について2つの破線部があったかと思います。ネパールの西の方はラダク地方といい、インドとパキスタンが領有を激しく争っているカシミール地方に隣接します。

今回はブータンの東側が舞台です。新聞記事にもある通り、中国の習近平国家主席とインドのモディ首相の間は国境だけでなく、政治や経済でも揉めています。中国が弾圧をかけているチベット仏教の指導者ダライ・ラマ14世は、60年以上インドに亡命したままです。

考査にも出題しましたが、こうした中国の拡大の背景には、中央アジアとインド洋を制する「一帯一路」経済圏構想があります。世界には様々な国境紛争がありますが、その政治的、経済的、宗教的背景を押さえておく必要があります。期末後の授業で触れていきたいと思います。

「世界全体で1400万人超」

本日の東京新聞朝刊に、新型コロナウイルスの感染者の国別統計が掲載されていた。

この統計に2019年の人口国別統計を重ねてみたい。

米国(329,065千人)
ブラジル(211,050千人)
インド(1,366,418千人)
ロシア(145,872千人)
ペルー(32,510千人)
南アフリカ(58,558千人)
メキシコ(127,576千人)
チリ(18,952千人)
英国(67,530千人)
イラン(82,914千人)

人口統計と見比べてみると、意外にもチリの感染率が高く、人口1000人あたり、17人が罹患している計算となる。インドが一番低く、人口1000人あたり、1人いるかいないかといったところである。もちろん検査体制や検査受診率で大きく変わるところなので、一概には言えないが、アジア圏の圧倒的な少なさは指摘しても良いであろう。世界人口ランキングのベスト15位までに入る中国(1,433,784千人)、インドネシア(270,626千人)、パキスタン(216,565千人)、バングラデシュ(163,046千人)、日本(126,860千人)、フィリピン(108,117千人)、ベトナム(96,462千人)などのアジア諸国が名を連ねていない。気候での明確な線引きは出来ないし、一人当たりのGNIも関係なさそうだ。地理的に感染拡大の理由が説明できると授業で偉そうな顔ができるのだが。。。