本日の東京新聞朝刊より。
1学期のプレゼンでトルコについて発表した班があり、記事にあるアヤソフィアを取り上げていた。アヤソフィアとはトルコのかつての首都イスタンブールにある世界遺産である。記事の最後にもあるが、ビザンツ帝国時代にギリシャ正教会の総本山として建築され、オスマン帝国征服後は、イスラム教のモスクに改築されている。第一次世界大戦後にオスマン帝国が滅亡すると、後を継いだトルコ共和国では、ヨーロッパとの関係修復を狙い、宗教色を排した博物館と位置付けられてきた建物だ。
現トルコ政権を担うエルドアン大統領は、タカ派的発言を繰り返すことで、一部の国粋主義者の人気を集めてきた人物である。数年前からシリアとの国境付近に滞在するクルド人を掃討しようとシリア国内にまで進攻し、数多くのシリア難民を生み出す結果を招いた。しかし、トルコ国内ではシリア難民をもう受け入れられないと、シリア本国への強制帰還やEUに押し付けるなどの排外主義的政策が目立つようになってきた。
人口8,200万人の大国トルコが、EUとも中東とも距離を取ろうとする中で、人口の大半を占めるイスラム教の一部の支持者を喜ばせる政策の一つが、このアヤソフィアの「モスク化」である。周辺の国に挑発を繰り返す一方で、国内で愛国主義を扇動する手法は、戦前の日本と同じである。親日国で知られる同国が危険な道に進まないことを願う。