地理」カテゴリーアーカイブ

「南シナ海情勢『法に逆行』」

本日の東京新聞朝刊より。
菅首相は「日本は緊張を高める行為に強く反対している」と強調し、「力や威圧によらず、国際法に基づく紛争の平和的解決に向けて努力することが重要だ」と指摘している。ここまでは良い。しかし、返す刀で日本とベトナムは防衛装備品と技術移転に関する協定に実質合意し、防衛強力の拡大で一致している。「威圧によらず」という言葉と「防衛協力」は矛盾しないのだろうか。

これから日本との経済的交流が増えていくだろうと予想されるベトナムとの首脳会談で、国際問題や経済問題で意見を交わすというのは、東南アジアを重視する日本政府の姿勢が伝わるナイスな判断である。しかし、米国の片棒を担ぐような防衛協力は、却って東南アジア情勢を複雑化させるだけである。

「ナイル流域 エジプト明暗」

本日の東京新聞夕刊より
ちょうど1組、2組は本日の授業でエジプトの砂漠気候を取り上げたところである。記事によるとエジプトは今年になって人口が1億人を突破し、パンの次に食べられている米の生産に必要な農業用水の確保 が難しくなっているとのこと。アフリカ東部やマダガスカルなどの多雨地帯で稲作が盛んなことは知っていたが、エジプトで人口増に合わせて米の作付け面積が増えているとは知らなかった。ネットで調べたところ東南アジアで食されているインディカ米ではなく、ジャポニカ米が普及しているそうだ。但し、米の生産の9割近くはインディカ米で、ジャポニカ米は極めて生産量が少ない。そんな中でエジプト人は年間約40kgほどの米を食べるという。

ちょっとイメージが湧きにくいが統計データを見たところ以下のようになっている。世界生産量の一端は担っているといっても過言ではない。

「イラン武器禁輸制裁 きょう期限」

本日の東京新聞国際面から。
10数年続いたイランへの武器輸出禁止措置が本日をもって解禁され、早速ロシアや中国がイランへ地対空ミサイルなどの売り込みをかけているとの内容である。イランは現在アゼルバイジャンと揉めているアルメニアと関係が深い。イランの軍事力の強化はカスピ海周辺の緊迫化も倍化させそうである。

「脱炭素か 化石燃料か」

本実の東京新聞朝刊に、米国大統領選挙でエネルギー政策が争点の一つになっているとの報道があった。

少し補足をすると、オハイオ州やミシガン州、ペンシルバニア州、ウィスコンシン州などの五大湖周辺は、近くにアパラチア丹田があり、豊富な水が得やすく、かつては米国産業革命の中心となった地域である。しかし、ここ30年近く自動車や製鉄業も不振を極め、「ラストベルト(さびついた工業地帯)」との不名誉な名称まで冠されている。

しかし、地中の頁岩から原油や天然ガスを分離する技術が確立されてから、この地域でも原油が経済を支えるようになっている。前回の選挙でトランプ大統領はこのラストベルトで、化石燃料の更なる活用と米国の自動車製造の復活を掲げて勝利を収めている。

記事によると、この地域で「2035年までに化石燃料を用いた発電をゼロにする」という政策を押し通すバイデン候補が注目を集めているという。米国は2018年現在で104基の原発が稼働しており、脱化石燃料の分がそのまま再生可能エネルギーに代替されるわけではない。地球温暖化という総論だけでなく、各国のエネルギー需要という各論の議論が大切である。