投稿者「heavysnow」のアーカイブ

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

ララガーデンで、アレックス・ガーランド監督・脚本、キルスティン・ダンスト主演『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024 米)を観た。
カリフォルニア州とテキサス州が西部勢力として独立し内戦状態に陥った米国において、西部勢力側と一緒に行動する戦場カメラマンの活躍と苦悩が描かれる。最後は米大統領が西部勢力の兵士によって殺されるショッキングなシーンで終わる。

戦場カメラマンの恐怖や苦悩は描かれるが、一体なぜ内戦状態に陥ったのかという背景の説明が全くなく、映像は迫力あるものの映画全体の印象が薄い作品となってしまっていた。

『平清盛』

安田元久『平清盛:権勢の政治家と激動の歴史』(清水書院,1971)を数ページだけ読む。
著者は学習院大学の学長まで務めた日本の中世史学者であり、本書も専門書に近い内容であった。
専門家の間でも平清盛の人物像の評価は分かれている。鎌倉時代の始まりが1192年ではなくなったように、古代から中世の転換をどこにおくのかで、平清盛の評価も分かれていく。著者は平清盛の評価の難しさについて次のように分析する。

清盛に対する歴史的評価の困難さは、また彼が作り上げたところの、いわゆる平氏政権の歴史的位置付けの問題とも関連する。平氏政権を古代的貴族政権のひとつと見るとき、それは古代の終焉をつげる苦悩の中に生まれたところの独裁政権であり、また王朝国家の没落を前にして咲いたあでやかな仇花ともいえる。平氏政権を、武家政権と見るとき、それはまさに新しい時代の先駆者であり、中世をひらく苦悩の前史をいろどる短命の政権とみることができよう。

『激動世界の裏側』

鎌田慧『激動世界の裏側』(すずさわ書店,1990)をパラパラと読む。
1987年から90年にかけて新聞や雑誌に連載された記事が収録されている。天安門事件に始まり、欧州各地の冷戦の崩壊の模様、韓国の労働運動などの世界情勢や、言論弾圧に抵抗した本島等長崎市長や減反を迫られる大潟村など、当時新聞を賑わせたニュースの背景が書かれる。国鉄民営化や御巣鷹山の墜落事故、建設前の六ヶ所村再処理工場での反対運動など、1980年代後半、「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根内閣への闇の部分が垣間見える。

『心と脳の科学』

苧坂直行『心と脳の科学』(岩波ジュニア新書,1998)をぱらっと読む。
著者は京都大学大学院文学研究科博士課程心理学専攻を終了し、同大学院文学研究科の教授である。しかし、中身は分子生物学のような内容で、ほとんど頭に入ってこなかった。

『侍タイムスリッパー』

安田淳一監督、山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの主演『侍タイムスリッパー』(未来映画社,2024)を観にいった。
単館上映の自主制作映画であったが、評判に評判を呼び全国上映に拡大され、ネットやニュースで噂になっていた作品である。フィクションとノンフィクション、幕末と現代がそれぞれ重層的に進行しながら、絡み合い、そしてそれぞれの物語が成長していくという奇跡のような映画となっている。

また、ちょうど先月、会津若松城に行ったばかりだったので、会津藩出身の侍に想いを寄せてしまい、新撰組の活躍を描いた司馬遼太郎の『燃えよ剣』の感動もよみがえってきて、感動も一入であった。本当にいい映画に出会えることができた。観客それぞれに違った感動があるのだろう。もう一回観たい映画であった。