江戸川乱歩『電人M』(ポプラ社 1964)を読む。
床全体がモーターで上がったり下がったりして、中に入った人が消えたり、閉じ込められたりする明智小五郎シリーズ定番の大仕掛けが登場する。怪人二十面相シリーズなのでトリックや変装だらけで、途中で飽きてくる。久しぶりにポケット小僧が登場した。
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『透明怪人』
江戸川乱歩『透明怪人』(ポプラ社 1964)を読む。
1951年、月刊娯楽雑誌「少年」に連載された小説で、今は聞き慣れない単語が登場する。「牛肉屋」「洋服地」「ルンペン」「焼けビル」「兵営のあと」など、高度経済成長ともに消えていった言葉である。
怪人二十面相シリーズなので、変装とトリックだらけで読後感が悪い。タイトルにある通り透明な人間が登場したかと思えば、それらは全てトリックか演技か虚言であり、最後は明智小五郎本人と替え玉と怪人二十面相が化けた明智小五郎の3人が一堂に会する。家族ですら見分けられないほどの変装っぷりはミステリーとしては邪道である。
「米の銃犠牲者数 コロナ前を上回る」
本日の東京新聞夕刊に、米国で年初からの銃の死者が17,000人を越えたとの記事が掲載されていた。ルイジアナ州の最大都市ニューオーリンズは、白人が6割、黒人が3割となっているが、3割の黒人社会で銃が蔓延している。銃による犯罪が多いので、銃の販売が増えるという悪循環に陥っている。世界一の大国で銃所持が許可されているというのは全くもっておかしな話である。アメリカ拡大に伴う歴史的な経緯もあるが、アメリカ市場が活況なため、銃の製造が増え、他国が迷惑しているという現実がある。
今から20年以上も前の話であるが、1999年にコロラド州のコロンバイン高校で銃乱射事件が発生した。13名が射殺され、犯人の2人の高校生も警察との銃撃戦の末、銃で自殺するという凄惨な事件だった。米国のジャーナリストで、ドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーア氏が、この事件を『ボーリング・フォー・コロンバイン』(2002 米)という作品で、事件の概要から背景まで丁寧に説明している。その中で、ムーア監督は銃が気軽に手に入る米国そのものが病んでいると述べている。大麻合法化の動きも加速化しており、いったい米国はどこへ向かっているのであろうか。
記事から離れるが、少し地理的な話をすると、ニューオーリンズはミシシッピ川が運んできた泥が堆積した三角州の上に位置している。ミシシッピ川は北米大陸の平野を縦断するため運搬力が弱く、泥は海岸近くに溜まっていく。ちょうど鳥の足跡のようなので、鳥趾状三角州と呼ばれている。海岸近くの平野なので標高はたったの2mである。また、ニューオーリンズはカリブ海に面しており、熱帯低気圧(ハリケーン)の通り道にある。2005年8月には905hPaのハリケーン・カトリーナが直撃し、高潮によって1600人が犠牲となっている。
『死の十字路』
江戸川乱歩『死の十字路』(ポプラ社 1972)を読む。
本格的な探偵小説で、読者には予め分かっている犯人を明智小五郎ともう一人の探偵が追い詰めていく構成となっている。いささか出来すぎな展開もあるが、過激派学生が登場するなど、時代を感じる小説であった。
『お父さんのための携帯電話ABC』
法林岳之『お父さんのための携帯電話ABC』(日本放送出版協会 2007)を読む。
携帯電話で電話が繋がる仕組みに始まり、各社のケータイの種類、ケータイでのインターネットを活用したサービスなど、スマホが登場する前のケータイにまつわる情報がまとめられている。3G回線が普及し始めた頃の話で、「着うたフル」や「待ちうた」、「フルブラウザ」「LISMO」など、つい最近のことなのに懐かしさを感じてしまうサービスが紹介されている。
改めて、スマホが私たちの生活をどれほど変えたのかと、ここ10数年の変化に思いを寄せてしまう。

