椎名誠『海を見にいく』(本の雑誌社 1986)を読む。
国内外の海の写真を交えながら、海にまつわる思い出やエッセー、小説が綴られている。
アリューシャン列島に位置する小島やニューギニア島の東にあるトロブリアンド諸島、八丈小島など、およそ観光地ではない海が興味深かった。
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『まほろ駅前多田便利軒』
第135回直木三十五賞受賞作、三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』(文春文庫 2009)を読む。
2006年に刊行された本の文庫化である。東京・神奈川の住民であれば、すぐに町田市と分かるリアルな物語舞台が設定されている。
様々なドラマが生まれるのだが、いまいち刺さらなかった。
『毎日が冒険』
高橋歩『毎日が冒険』(サンクチュアリ出版 2001)をパラパラと読む。
著者は世界一周や東日本でのボランティアなど破天荒な冒険にチャレンジする実業家である。著者自身が高校3年生から浪人生活、大学中退、映画「カクテル」に憧れてバーの開業、そして、自伝を出すための出版社の立ち上げにいたるまでの爆ぜる思いが綴られている。ちょうど同世代の作家であり、90年代の浪人生活や大学での一人暮らしなど、共感する部分が多かった。
「中国偵察気球 中南米にも」
本日の東京新聞朝刊に、中国の米国上空に現れた中国の偵察気球の飛行ルートが図示されていた。ちょうど北緯35度から60度付近を帯状に蛇行しながら吹く偏西風に沿っていた。少し解説を加えると、地球は地軸が23度傾いているので、夏は気候帯が大きく北上する。それに伴い偏西風も高緯度地域に追いやられてしまう。一方冬は気候帯が南下するため、偏西風の活動域が広がり、風力も強くなることが知られている。また、偏西風は別名ジェット気流とも呼ばれ、航空機が飛ぶ高度12,000メートル付近を流れ、秒速100mにも達し、航空機の運行にも影響を与えている。
今回の中国から飛ばされたとされる気球は、冬の強い偏西風に乗って米国本土まで飛んで行ったと考えられる。この発想は戦前の日本軍が採用しており、1944年から45年の冬に風船に時限爆弾を積んで、ジェット気流を利用して太平洋を越えて米国本土を直接攻撃する風船爆弾なるものを実戦投入していた。実際に9,000発飛ばしたうちの1,000発ほどが米国に到着したとのことである。
『映画つくりの実際』
新藤兼人『映画つくりの実際』(岩波ジュニア新書 1985)を読む。
著者は1912年に生まれ、2012年に亡くなった映画監督・脚本家である。1934年に京都の映画会社に就職して以来、海軍に招集された1年ほどを除いて80年近くを映画作りに捧げた人物である。370本もの脚本を手がけ、本書でもシナリオについて思いを込めて綴っている。
要するに創作とは、自分自身に対する対決であり、自分を試してみるだけのことである。人はどうかしらないが、私はそうなのだ。だいいち、他人のことなどわかろうはずがない。人物の姿を借りて、私自身の狭いこころと対話しているだけである。
私はどきどき「シナリオはどのように書いたらいいのでしょうか」と問われる。すぐさま私は答える。「あなた自身を、あなた自身が知っていることを書きなさい」と。
シナリオは、そこからはじめなければならない。そしてそこでおわるようである。


