竹内克好『なぜ私は業者テストをやめさせたのか:とにかく親も問題だ。学校や偏差値まかせで子どもが幸せになるか。親の”下請けまかせ体質”をなくせば、かならず教育はよくなる。』(ごま書房 1993)を読む。
全国に先駆けて中学校現場から業者テストの廃止を打ち出した埼玉県の当時の教育長の著書である。教育を単純に家庭教育と学校教育の二元的なものに分類し、とくに家庭教育において道徳や体力をしっかり身に付けさせよと述べる。そのために、両親が長時間労働や遠距離通勤で子育てができないなら、職場を変わる気持ちを持てと威勢がよい。しかし中身の具体性はほとんどなく、保護者向けの講演会程度の内容に終わっている。
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『学ぶ意欲の心理学』
市川伸一『学ぶ意欲の心理学』(PHP新書 2001)を読む。
心理学の観点から、学習の動機を学習内容の興味深さと学習の功利性に分けて分類し、自分自身にプライドや競争心、また報酬、知的好奇心など多様な動機を与えることが必要だと述べる。
『ネコともっと楽しく暮らす本』
南部和也・南部美香『ネコともっと楽しく暮らす本』(三笠書房 2000)を読む。
獣医による視点から、ネコの生態と扱い方について分かりやすく解説されている。
マルクス
先週春日部東口にあるキスゲセンターという一見怪しげなペットショップでアメリカン・ショート・ヘアーの雄ネコを買ってきた。
先月まで5万円で売られていたのだが、兄弟ネコが売られてしまったというだけの理由で、一気に半額の2万5千円まで値下げされていたので、つい衝動買いをしてしまった。帰り際、早速名前を思案し、ドイツの哲学者カール・マルクスにちなんで、マルクスと名付けた。本当は「人間は考える葦である」の名言で有名な哲学者パスカルの名前を頂戴しようと思っていたのだが、呼びにくいという理由で妻に却下されてしまった。
何はともあれ、大人しい猫で、持ち帰ってすぐにトイレも寝る場所も覚えたので、手がかからなくていいなぁと思っていた。。。が、それもほんのつかの間であった。
猫というと気まぐれで、甘えたい時しか人間に近づかないと思っていたのだが、このマルクスは人間が大好きで、隙あらば人にじゃれつこうと「甘え攻撃」を仕掛けてくる。人間から決して離れようとしない子犬のような性格の持ち主のようである。
『長期停滞』
金子勝『長期停滞』(ちくま新書 2002)を読む。
バブルが弾けてから10年近く、政府は「グローバルスタンダード」の名の下に、安直な国際会計基準の導入やペイオフの凍結解除を行ったり、また赤字国債による公的資金を投入してきた。しかし、信頼と保障の社会経済システムを構築しないうちに、一連の市場原理主義を導入したことで、結局は日本市場の不信感を生み、不況を長引かせてしまったと金子氏は指摘する。そして人々が安心して暮らせるセーフティネットを整えた上で、大規模な公的資金の投入という自説を展開する。
著者はグローバルスタンダードの概要について次のように説明する。
時間と空間の壁を超えにくい雇用や農業にグローバリズムの荒波が及んでくると、ナショナリズムの反発を惹起させる。歴史の教えるところでは、それが自由貿易体制を崩壊させる一つの引き金になってきた。いま、再びWTOの新ラウンドが始まっているが、農産物の自由化問題が一つの焦点となっている。
経済学者たちは、これらの各生産要素を無差別にマーケットという言葉で一括りにしてしまう。確かに、人間が作り出した市場という制度は、時間や空間の制約を超えようとする。だが、市場メカニズムをもってしても、自然の時間や空間を容易に超えることはできない。その軋轢が、歴史の動学を作り出す一つの大きな要因となってくる。
事実、この間、事態は歴史の教える通りに推移してきた。グローバリゼーションの波はまず金融の自由化から始まった。その結果、国際金融市場を不安定化させてきた。それゆえ金融自由化政策は、絶えず「グローバルスタンダード」という名の規制強化を必要とさせる。つまり金融自由化と規制強化のいたちごっこに陥るのだ。







