伊藤正男『脳のメカニズム:頭はどうはたらくか』(岩波ジュニア新書 1986)を読む。
小脳のプルキンエ細胞におけるメモリー機能の研究で有名な著者であるが、ブロードマンの脳地図や3系統のシナプスの解説など分かりやすく、タイトル通り脳のメカニズムを勉強していく上での簡単な見取り図として最適な入門書となっている。
小脳という部位は脳幹・脊髄の反射機能や大脳の運動機能を正確・精緻なものにする特殊な働きを司る。そうした運動機能を高めていくために、小脳では何度も繰り返すことで正しい動きを記憶し、誤った動きとの誤差を修正する作用(適応制御系)が常に働いている。その正しい動きの信号を記憶するのが、小脳内のプルキンエ細胞の「可塑性シナプス」というものなのだそうだ。今後小脳の研究が進んでいくと、一度で正確な動きを記憶できるような神経伝達物質のサプリメントなんていうのが開発されていくのだろうか。
『脳のメカニズム』
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