『心をつなぐインターネット』

大森しげる作・衣袋エミ子画『心をつなぐインターネット』(財団法人 日本原子力文化振興財団 1996)を読む。

日本原子力文化振興財団という原子力発電を推進する政府系外郭団体が発行しているので、おやっと思い手に取ってみた。

新聞部と放送部の中学生が初めてインターネットに触れ、海外の中学校とメールのやり取りをするという、昔なつかしいテーマの漫画である。しかし、前半はさすがにインターネットがテーマなのだが、後半は近所の原子力研究所を訪ね、原子力発電について学び、原発こそが環境問題解決の切り札であるという内容を学校のホームページに載せるというちょっと奇妙な内容となっている。

言葉は悪いが、インターネットの将来性や部員同士の恋愛などを隠れ蓑としながら、原子力発電の施設の五重の安全性や高速増殖炉による夢のエネルギーリサイクルなど、今になってみれば全くの眉唾物の説明が後半続く。作者には申し訳ないが、そうした展開パターンはインチキな新興宗教やいかがわしい通信販売の手引書と全く同じである。

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