『住宅購入学入門 いま、何を買わないか』

長嶋修『住宅購入学入門 いま、何を買わないか』(講談社+α新書 2005)を読む。
現在個人向けの不動産コンサルティングサービスを立ち上げ、不動産の建物調査や不動産経済セミナーの講師を務める著者が、不動産にまつわる経済的な話から、不動産業界の世間山話、そして、住まいや街づくりについて哲学やあるべき理念を語る。
日本で住宅を購入する平均年齢は37歳だという。いよいよその年齢まであと一歩となって、自分自身に関わってくる話だと思って読んだ。
十数年前までは、土地神話に支えられ地価は必ず値上がりするものだという前提に立って、持ち家が奨励された。しかしバブル以降、土地は値下がりを続け、しかも30数年のローンを払い終わる頃には、建物自体の資産価値もゼロに近くなる。そして払った本人が亡くなったら、大切な家はあっさりと壊されてしまう。これでは、一生懸命働いてローンを返し続ける人たちの人生そのものが砂上の楼閣となってしまう。
著者は、新築住宅であろうとマンションであろうと、きちんとした設計の基に施工され、適切な修繕管理を施すことで、資産価値を高めることが大切だと説く。健全な中古住宅市場が広がることで、自分の家に愛着を持つことができ、引いては自分の家だけでなく、自分の住む町や都市全体の安全や幸福を願う気持ちにつながると述べる。

□ 不動産の達人 株式会社さくら事務所 □

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