『とてつもない日本』

今日の東京新聞朝刊の一面トップは、「麻生政権最大の危機」の文字が躍る「中川財務相の辞任」がトップであった。
笑顔が持ち味の麻生総理であるが、最近は厳しい表情が続き、顔色も冴えないようである。マスコミからは揚げ足を取られ、野党の民主党からは厳しく追いつめられ、挙げ句には小泉元総理をはじめ自民党内部からも批判の嵐である。特に今年に入ってから、麻生総理の言動を論っては面白がっているようないじめに近い風潮さえ感じられる。政権与党を批判するのは健全な野党やマスコミの大切な仕事であるが、漢字の読み方や1万2千円をもらうだのもらわないだのといった批判や報道に終始するのは良識を疑う。これからの日本や世界の政治・経済体制を占う中で、麻生内閣のずばり政治理念そのものを骨太に批判してほしいものだ。

そこで、実際の彼の政治哲学はどのようなものかと思い、麻生太郎『とてつもない日本』(新潮親書 2007)を読んでみた。
得意の外交、アニメや漫画など日本のソフトコンテンツだけでなく、高齢化の進展や教育格差、地方政治、北朝鮮問題など多岐にわたる。
高齢化社会を日本の景気回復の起爆剤とする考えや、中学校を義務教育から外すなど、斬新な発想をする高校生の小論文のように自由な語り口が面白かった。戦前は宮内省や陸海軍省の管轄にあった日本赤十字社を認可法人に移行したように、靖国神社を公益法人化し天皇の参拝を提案するなど、政治家としても非常にユニークな考えを持った人物である。
東大・京大出身を否定し、役人をこき下ろしているので、霞ヶ関では評判はよろしくないであろう。確たる政治哲学はないといってもよいのだが、アジア外交重視の姿勢や、個人のライフスタイルや小国の主権に敬意を払った社会や外交のネットワーク作りなど、新自由主義的な考え方とは一線を画している。
経済政策のとりまとめは彼の得意とするところではないだろうが、彼の政治に対しての自由放談をもっと聞いてみたいものだ。

年甲斐もなく……とか、いい年こいて……などといわれても気にせず、学生時代に乗りたくても買えなかったオートバイを六十歳になってから乗り回す。若い人じゃ買えないようなモトグッチとか、ウアンビーンなんていう高級なイタリア製のオートバイを購入して、逃げた女房は忘れて、合コンなんかで知り合った女性を後ろに乗せて、ダンディにツーリングを楽しむ……、そんなことができれば、高齢化社会はバラ色ではないか。

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