本日の東京新聞朝刊は読みごたえがあった。
25年続いている恒例の靖国ルポは8月15日の朝から夕方までの靖国神社での動きを伝えている。数年前までは戦争肯定に傾きがちな靖国参拝に反対する活動の様子が記載されていたが今年はなかった。実際に活動がなかったのか、記事にされなかったのかは分からない。一方で、学生や若い社会人の参拝の様子が伝えられ、右派的言論が目立つように思う。
今年6月に尖閣諸島を海上から視察した野田数東京都議は「自民や民主はダメだ。英霊が命をかけて守ってくれた国土だ。靖国と領土問題は切り離せない」と話している。しかし、靖国への参拝と領土問題を簡単に英霊というキーワードで結びつけてしまう短絡的な発想は正直怖いと思う。
また、他の紙面では「日米同盟と原発」と題したシリーズ特集の第1回が掲載され、戦前の幻の原爆製造「ニ号研究」の様子が詳しく報じられている。
当時、原子核物理の第一人者だった理化学研究所の科学者の仁科芳雄氏が開発責任者となり、原爆開発計画が軍主導で進められていた。結局、ウランの濃縮実験やウランの調達に支障が生じ、開発は中止に追い込まれることになった。しかし、その仁科氏の下で学んだ若い門下生らが戦後、「平和利用」と名を変えた戦後の原子力開発の礎となっていった。
原爆というと、日本では被害者のイメージが強いが、加害者として他国に原爆を投下する予定で計画が進んでいたことに驚いた。戦後の原子力開発との流れと合わせて問題を見ていきたい。