本日の東京新聞夕刊に、性犯罪被害者の中絶費用の公費負担制度に関する記事が出ていた。2006年度から始まった強姦の被害者に対する人工中絶費用の支給は、国と都道府県が折半して医療費を支給している。31都県では上限を設けずに、初診料や診断書料まで含めた全額が支給され、被害者の経済負担はゼロとなっている。ただし16道府県では支給上限額が設けられている。警察庁では上限の撤廃を求めているが、その上限額も和歌山の17万5000円から山形の9万円までばらつきがある。
性犯罪ましてや妊娠までしてしまう犯罪は被害者の人権を大きく踏みにじるものである。様々なケアが必要であるが、せめて経済的な負担だけはゼロにしてもらいたいものだ。
さらに、記事は性犯罪被害者の現状に詳しい富山市の産婦人科医種部恭子さんの話でまとめられている。種部さんは「現在は原則、性犯罪被害者は警察に被害届を出さなければ経済的な支援を受けられない。(しかし)被害届を出す、出さないにかかわらず、支援する機関を通して公費で医療費を負担するような仕組みが必要だ」と話している。
種部さんは医療機関の立場から、スムーズな被害者支援策を述べている。しかし、被害届を出さないままの支援だと、かえって被害者が泣き寝入りしてしまうことにならないだろうか。こういった事件では加害者未定でも、加害者を追求する意味で被害届をきちんと出す必要がある。その上で被害届を出しやすいような医療機関のサポートや、その後のケアが必要になってくると考える。