八幡和郎『最新 47都道府県うんちく事典:県の由来からお国自慢まで』(PHP文庫 2009)を読む。
著者は日本史と日本地理を専門とした作家・評論家で、1871年の廃藩置県から5年後の1876年にほぼ現在の47都道府県に落ち着いた経緯を丁寧に説明している。また、観光地や出身の有名人なども取り上げられており、気軽に読める本となっている。また、この手の本にありがちな参考文献の寄せ集め的な無個性な内容ではなく、著者の思いや主観がかなり色濃く書かれており、飽きることがなかった。
参考になったところを少し。
三多摩というのは、武蔵国に東西南北の多摩郡があったうち、いまの中央線沿線にあたる東多摩郡だけを23区に入れて、残りを総称したものだ。
三洋電機の下請け工場などが多い大泉町は外国人比率16%で全国1位。
埼玉県の東部に、岩槻という雛人形などで有名な城下町がある。もともと大岡藩二万石の城下町で、いまでは人口11万人の都市だが、埼玉県庁は本来はこの町に置かれるはずだった。埼玉県という名前もこの岩槻が埼玉郡に属するのでつけられたものだ。ところが、いざとなると岩槻市内には県庁にあてることが出来るような適当な建物がなかった。そこで、宿場町だった浦和に急遽顕県庁が置かれることになった。そして、この埼玉県が河越県と合併して成立したのが現在の埼玉県ということになる。県域は武蔵国の北半分で、埼玉とは先多摩から来ている。