羽仁進『5日でわかる世界歴史』(小学館文庫 1999)を読む。
1994年に刊行された本の文庫化である。単行本の方は読んだことがあるが、全く内容は失念しており、初読のつもりで楽しむことができた。
時代や地域を横断的に語るので、四大文明や三代宗教について、人間の営みという点から理解することができた。また、宋の王安石の「新法」も、長い歴史の発展から語られており、大変興味深かった。
王安石は、11世紀半ばに10年近く政権を握り、青苗や募役、均輸、市易、保甲、方田均税など、次々に社会経済政策を先駆した人物として知られる。貧しい農民に資金を融資したり、零細商人から直接買い上げを行ったりするなど、貧困対策をしっかりと取ることで、国家を繁栄させようという施策である。
しかし、当然のことながら、こうした社会主義政策に対しては、地主豪族や高級官僚、朝廷の重臣、皇族からの反対の声があがる。『資治通鑑』で有名な司馬光は、徹底して新法に反対している。また、蘇軾や欧陽脩といった見識高い人物たちも、国家が民間の経済活動に介入することは間違いだと、新法に反対の立場をとっている。「小さな政府」か「大きな政府」の議論が、1000年も前に行われていたのである。