鈴木亮『もっと知りたい日本の現代史:第1次世界大戦から湾岸危機まで』(ほるぷ出版 1991)を読む。
著者は高校で教えていた経歴もあるので、不勉強な高校生にも分かりやすく、日本とアジアの関係ついて説明する。戦前の共産党運動に肩入れしている部分が数多くあり、「あれ、大月書店の本だっけ?」と奥付を見返したほどである。
最後に筆者は次のように語る。
歴史は暗記科目だ。試験のまえにちょっとおぼえればいいという姿勢が、歴史をつまらなくし、無意味にしてしまう。軽々しい歴史の語句の暗記は、かえってその人の世界観や人生観にマイナスにさえはたらくだろう。
歴史の事実・知識のなかには、その時代を生きた人々の、怒りや喜びや悲しみや苦しみ、愛や残酷さや、強さや弱さが込められている。果たそうとして果たせなかった願いがこもっている。命をかけた言動がある。
そのできごとのもつ意味を考える。なぜそうなったのか、なぜそうならなかったのか、そうしたのは誰か、そうさせなかったのは誰なのか。これはだれとだれのたたかいだったのか、この事実とこの事実がどこでどうむすびついているのか、むすびついていないのかを考えてみる。第2次世界大戦後の日本は果たして、ヒトを食うしごと(1945年の覚え方)をやっていないだろうか。
歴史の学習というのは、やさしい勉強ではない。歴史の本を読んだら、すぐに歴史がわかったというわけにはいかない。ある高校生は「歴史は現代の理由だ」といった。