竹内久顕『予備校教師からの提言:授業・入試改革に向けて』(高文研,2001)を読む。
著者は現在東京女子大学で准教授となられているが、執筆当時は駿台予備校の講師を務めている。1990年代前半の受験競争や予備校バブル、そして、1990年代後半に入って一気に少子化が進み、競争を売りにできなくなった受験業界について、現場感覚を交えて丁寧に説明している。後半は著者の専門である日本史の入試問題を取り上げ、暗記や機械的な解法では解けない良問が紹介されている。
団塊ジュニアど真ん中の私は、受験戦争という中で青春期を送ったが、すでに2000年の頃には良くも悪くも競争のない、暗記やテクニックに頼らない論理的な思考を試す授業が提言されているのだ。重ね重ね意識しておきたい。