月別アーカイブ: 2024年4月

『人格障害かもしれない』

磯部潮『人格障害かもしれない:どうして普通にできないんだろう』(光文社新書 2003)をパラパラと読む。
著者は精神科医で、自身が診察してきた「人格障害」の患者の症例を紹介している。また、新潟少女監禁事件や池田小学校児童殺傷事件、神戸連続児童殺人事件の加害者の人格障害の分析や、尾崎豊、太宰治m、三島由紀夫も分析の対象としている。つまらない本であった。

『世界一やさし〜い 経済のイロハがわかる本』

石井勝利『世界一やさし〜い 経済のイロハがわかる本』(ビジネス教育出版社 2009)を読む。
一項目1ページの構成で、消費税や失業率、雇用統計などの用語について簡単な説明がなされている。ちょうどリーマンショックの頃に出版されたので、円高不況、株価下落、求人激減など、今とは真逆のことで苦しんでいるのが興味深かった。

『ブッダの幸福論』

アルポムッレ・スマナサーラ『ブッダの幸福論』(ちくまプリマー新書 2008)を読む。
1945年生まれの著者はスリランカ出身の僧侶で、1980年に国費で来日し、駒澤大学大学院仏教学専攻博士後期課程を卒業している。上座仏教普及の旗振り役で、数多くの本を執筆している。大乗仏教は仏を信仰するが、上座仏教は神も信仰もなく、他の宗教と異なると説く。そして、仏教は釈迦の「教え」であって「宗教」では無く、論理的で実践的な「心の科学」であるとし、今この場で役に立ち、自ら実践し理解する智慧の教えであると説明している。

本作でも、平易な語り口で、ゴータマ・ブッダの教えを日常生活に生かし、幸せになるコツが紹介されている。不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒の五戒だけはやってはいけない、布施、愛語、利他、平等の四摂事を実践すれば、あとは唇や鼻にピアスをつけようが自由であるという。

『20世紀理科年表』

山口幸夫『20世紀理科年表』(岩波ジュニア新書 1986)を読む。
タイトル通り、1901年の第1回ノーベル賞から元素、ライト兄弟、真空管など、科学の世紀を彩る発明や発見が紹介されている。著者は物理学を専門としているので、相対性理論や量子力学、原爆・原発に紙幅が割かれている。

アメリカのハッブルは、ボクシング選手として世界チャンピオン級だったが、学位までとって法律家になり、父のあとを継いだ。が、天文学の魅力にとりつかれて、とうとう天文学者になってしまった多才な人である。1929年に宇宙は膨張し続けていることを発見し、天文学では20世紀最大の発見といわれている。

第二次世界大戦後、マンハッタン計画に参加したアメリカの科学者たちは、「もう原爆はつくるな」というフェルミやオッペンハイマーたちと、「もっと強力な核爆弾をつくろう」と主張する人たちとに分かれた。そして、後者の意見が主流となった。ソ連もアメリカに負けまいと、水爆開発をすすめた。“水爆の父”と呼ばれるテラー(米)を中心とする人たちは、1952年から、住民をたちのかせたマーシャル諸島で水爆の実験をくりかえしていた。第五福竜丸はそのビキニ環礁での水爆実験の被害者となっている。

『オッペンハイマー』

春日部イオンへ、クリストファー・ノーラン脚本・監督、キリアン・マーフィー主演『オッペンハイマー』(2023 米)を観に行った。
世界初の原子爆弾を開発した「原爆の父」として知られる理論物理学者ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた伝記映画である。途中30分ほど爆睡したのもあり、延々と聴聞シーンが続いて面白くはなかった。

ただし、オッペンハイマー博士は科学者としての誇りを捨てなかった人で、戦後は水爆の開発には携わらず、自身が中心となって進めたマンハッタン計画(原爆開発)にも、後悔を示している点は分かった。なぜ、日本での公開が遅らす必要があったのか。