江藤文夫『チャップリン』(岩波ジュニア新書 1995)をパラパラと読む。
著者は成蹊大学文学部で映像論や思想・文化論を講じた文学者である。岩波ジュニア新書なのに、ひたすらチャップリンの映画の作品論が展開されていて、取り付く島もないまま突き進んでしまっている。
ただ、チャップリンが1932年の5月14日に来日し、翌15日には当時の犬養毅首相の子息健が相撲見物に招待している。5.15事件はその相撲見物の最中に実行されている。当時犬養毅殺害の首謀者であった古賀海軍中尉の裁判記録では、チャップリンも殺害予定だったそうだ。合衆国の有名人であるチャップリンを殺すことで合衆国との戦争を引き起こせると信じたという証言が残されている。