日別アーカイブ: 2023年3月5日

『広末』

広末涼子『広末』(角川書店 1999)を読む。
雑誌の連載だろうか、高校3年生から大学1年生にかけて、マスコミでワイワイ騒がれながらも、仕事や勉強に真摯に取り組む彼女の本音が綴られている。高校時代の仲間と大騒ぎしたり、大学の友人の恋愛話の相談に乗ったり、世間のイメージとのギャップに悩んだりと、10代最後の2年間を過ごす等身大の著者の心の裡が語られる。ちょうど当時のラジオを聴いているような感覚である。
文章力や自己分析を含め、彼女の才能の片鱗を感じる一冊であった。

広末が入学に伴う「留年者在庫一掃セール」の煽りを受けて卒業した身としては、彼女に足を向けて寝ることはできなかった。彼女がCMを担当したimodeの操作する様子や、映画『鉄道員』の撮影など、当時バタバタしていた頃の雰囲気が思い出された。

そういえば、1999年の入学式は、まだ仕事が始まってなかったので、ビラまきに行ったんだっけ。

本を読んでる。デカルトとか…なんて言うと、なんだ堅そーと思うかもしれないけれど、けっこうあの人、夢や希望を与えてくれる。哲学用語ばかりじゃないので、ニーチェやカントよりずっとわかりやすい。

「『日本のカッパドキア』吉見百穴が人気」

本日の東京新聞朝刊に埼玉県吉見町横穴墳群「吉見百穴」が人気を回復しているとの記事が掲載されていた。吉見町では世界遺産にも認定されているトルコの奇岩「カッパドキア」に準えて宣伝に力を入れている。カッパドキアはトルコ中部のアナトリア高原にあり、ローマ時代には地下に教会や都市が作られている。

地理的に解説すると吉見町もカッパドキアも凝灰岩なので、柔らかく加工しやすいという特徴を持つ。関東地方は関東ローム層と呼ばれる凝灰岩の地層に覆われている。この300万年の間に富士山や箱根山、浅間山、榛名山、赤城山、男体山などが噴火した際の灰が積もって固まった地層である。また、トルコ国土の大半を占めるアナトリア高原も日本と同じ新期造山帯に属し、火山活動や地震活動が盛んなことで知られる。安定陸塊では見られない光景である。

『宇宙就職案内』

林公代『宇宙就職案内』(ちくまプリマー新書 2012)を読む。
中学生・高校生向けに宇宙関連の仕事が平易な語り口で紹介されている。宇宙飛行士やロケット開発に始まり、コンピュータを用いた宇宙物理学(理論屋)、望遠鏡の操作(観測屋)、すでにインフラになっている衛星ビジネスの実態など、大変分かりやすかった。著者の文章力や構成力の賜物であろう。

すでに分かっていることであるが、衛星によって水温やクロロフィルの量が観測できるので、地球観測データが暖流域にいるマグロや寒流域にいるカツオなどの漁業にも使われている。あれ、カツオって寒海魚だったっけ?