日別アーカイブ: 2023年2月11日

『一寸法師』

江戸川乱歩『一寸法師』(ポプラ社 1973)をささっと読む。
Wikipediaで調べたところ、1926年12月から1927年2月まで、『大阪朝日新聞』に連載された小説である。ラジオ放送が始まったばかりの頃で、「新聞やラジオが報道した」との記述がある。また、「吾妻橋付近の貧窟街」や「ふろの焚き口に火を焚べる」など、昭和初期の時代を感じる文言が印象に残った。

殺人事件が発生しているので、変装やらトリックのオンパレードの怪人二十面相シリーズではない。被害者が実は加害者かと思いきや、最後の最後でどんでん返しがあり、最後のページまで犯人が分からないようになっている。これまたWikipedia情報だが、連載の終わった1927年に映画化もされている。

「韓国に避難の3000人 大半が朝鮮半島ルーツ」

本日の東京新聞朝刊に、ロシアが侵攻したウクライナから国籍のない朝鮮半島ルーツの高麗人が韓国に身を寄せているとの記事が掲載されていた。3000人ほどの避難民の1割ほどが国籍を持っていないということだ。記事によると、ソ連のスターリンによって中央アジアに強制移住させられ、ソ連崩壊後にウクライナに移住した人たちで、特定の国籍を選択しなかったとのこと。

記事によると、韓国政府はパスポートがない場合でもビザの延長を認めたとのことである。一方、政府は更なる支援策を急ぐべきだとの批判の声も上がっている。欧米諸国が挙って応援するウクライナからの避難民と朝鮮半島ルーツという2つの要因が絡んだレアなケースだが、韓国政府の判断は正しい。日本の出入国管理法においても昨年日系3世までは、定住ビザを出している。また、2021年には日系4世まで日本語や日本文化を学ぶ講座が用意され、延長可能な労働資格が与えられるようになった。

いずれにせよ、日本も対岸の火事ではない。これから様々なケースで日本に移民や難民が押し寄せてくる。国籍の云々以前に人権という観点を大切にしたい。

『池上彰の学べるニュース』

池上彰『池上彰の学べるニュース:1』(海竜社 2010)を読む。
ちょうど民主党政権に切り替わったところだったので、事業仕分けや連立政権の仕組みなどが分かりやすく紹介されている。とりわけイエメンの項でシーア派とスンニ派の説明がすっきりと分かりやすかった。

シーア派は、イスラム教の創始者であるムハンマド亡き後、後継者の順番としては4番目に当たるアリーにつながる血筋の人こそが正統であるとし、彼の元に集結しようという立場。血筋を重んじる宗派です。
これに対してスンニ派は、「後継者など誰でもよい。イスラムの伝統と習慣を守っていくことこそが大事である」とする宗派です。

「UAEはアラブの王さまの国が集まってつくった国」と理解していただいていいでしょう。