本日の東京新聞朝刊に、2022年の韓国の合計特殊出生率が過去最低の0.78となった件が報じられていた。合計得出生率とは15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものであり、現在の医療体制で人口を維持するには2.1必要とされている指標である。記事によるとBRICSを除く先進38カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)加盟国で10年連続最低の記録だという。
授業中に触れたが、韓国の出生率の低下にはいくつかの要因がある。一つは住環境の悪化である。韓国は1970年代から80年代にかけて急激に首都ソウルに人口が集中したので、映画『パラサイト 半地下の家族』で描かれたように、家族がそろって生活できる空間が極端に少ない。
また、序列を重んじる儒教精神が強いため、親>子、父親>母親という価値観が、結婚を意識する若者に忌み嫌われている。北朝鮮との戦争状態が継続(終戦ではなく、休戦状態)されているため、徴兵制があることも、結婚を遅らせる要因となっている。
また、経済規模に比べ国内の市場が狭いため、財閥を中心とした一部の輸出産業に経済全体が依拠している歪んだ経済構造となっている。そのため、並の大学を出ても就職が覚束ないので、日本の比ではないほど学歴社会となっている。塾や習い事などの教育費の負担も出生率を押し下げる要因となっている。
韓国の事例や取り組みから学ぶことはたくさんあり、来年度の授業の中で生かしていきたい。