月別アーカイブ: 2022年7月

『地球がわかる50話』

島村英紀『地球がわかる50話』(岩波ジュニア新書 1994)を読む。
北海道大学理学部教授で、「海底地震観測施設」の施設長を務めていた著者が、地球の形に始まり、プレート、マントル、コア、地球誕生の歴史まで、空間的にも時間的にもスケールの大きい話を分かりやすく語っている。

しかし、最新の研究に携わる著者だからこそ、プレートが動く原因もマントルが対流する仕組みも、地軸がズレている理屈も、実は何も分かっていないという事実を素直に語る。
興味を引いたところを羅列してみたい。

  • 海嶺である紅海とアフリカ大地溝帯が交差するジブチで新しく火山が生まれ噴火したり、地震がよく起きたりといった大きな変化が生じているという。
  • 日本は北海道と本州東北部は北米プレートに、本州西南部と四国、九州はユーラシアプレートにあるというのはフォッサマグナの項で学習するが、これだけでは日本海から日本列島に向かう押し合う力が説明できない。
  • プレートが動く仕組みも分かっていない。これまでは海嶺から次々と作られるプレートに押されて動いていると考えられてきたが、最近では地球の中へ潜っていく古いプレートが引っ張るものだから、その結果としてプレート全体が動かされているという説が有力になりつつある。
  • 一番古いとされる太平洋プレートの歴史が2億年なのだが、ではそれ以前にも同じようにプレートが動き回っていたのか、なぜアフリカ大陸と南米大陸が切り離されてしまったのか、これからの研究を待たなければならない。
  • 地球が回る軸と磁石とは、角度にして11度ずれている。また地球の磁力は毎年少しずつ西向きに動いている。その速さは経度にして毎年0.2度とか0.3度ほど。地球の磁石がこの3、400年の間に年々、僅かずつ弱くなっている。地球の磁石がひっくり返る仕組みも、どれくらいの間隔で、またどれくらいのスピードでひっくり返るかも何も分かっていない。

『やさしい英字新聞入門』

天満美智子、エリック・ベレント『やさしい英字新聞入門』(岩波ジュニア新書 1996)を手に取ってみた。
冒頭著者は次のように述べる。果たして出版当時の1990年代後半に、英字新聞を広げることで他者の視線を感じるほど日本は遅れていたであろうか。時代錯誤も甚だしい。

通勤カバンの中にいつも英字新聞が入っています。けれども、電車の中でそれをひろげて読む勇気はまだないのです。私の性格、いや、周囲に気づかいをさせるこの国のせいだと思います。そのうえ、日本はまだまだ英語アレルギーの国なのです。

『四季の言葉100話』

米川千嘉子『四季の言葉100話』(岩波ジュニア新書 1994)をパラパラと読む。
著者は、早稲田大学大学院教育学研究科・国語教育専攻の前身である国語国文学専攻科出身の歌人である。そのため主に和歌で読み込まれてきた日本の四季の移ろいがまとめられている。ほとんど興味もなく読み流した。

「今年最高 都心37度」

本日の東京新聞朝刊にここ最近の猛暑の模様が報じられていた。
内陸ほど昼間の気温が高くなるので、40度を超えた地点として群馬県桐生市や伊勢崎市、埼玉県鳩山町などが取り上げられている。

この猛暑の原因に、貿易風に乗って太平洋を東から西に流れる赤道海流によるラニーニャ現象が指摘されている。ラニーニャ現象が発生すると、記事にもある通り太平洋高気圧とチベット高気圧が張り出し、日本付近で厳しい暑さになる。また、ラニーニャ現象が起きる夏は水不足や台風被害の拡大も予想されている。今も暑いが、9月に入ってからも厳しい残暑に見舞われることであろう。

 

『ファンタジーが生まれるとき』

角野栄子『ファンタジーが生まれるとき:『魔女の宅急便』とわたし』(岩波ジュニア新書 2004)をパラパラと読む。
有名なアニメ映画『魔女の宅急便』の原作者の角野さん自身の半生がエピソードを交えて丁寧に綴られている。『魔女の〜』は偶然に生まれたものではなく、幼少の頃から外国文学に親しみ、大学でも英文学を専攻し、ブラジルでの生活を経た経験の末に生まれた必然的な作品と言っても過言ではない。