文・室田武、写真・河野裕昭『水車の四季』(日本評論社 1983)をパラパラと読む。
刊行当時ですら、日本の風景から消えかけていた全国各地の水車の写真と解説である。解説を担当した室田氏は、京都大学理学部物理学科を卒業した変わり種の経済学者で、水車の仕事量の計算に着目している。水車の機能は様々で、ハブが回転する力を利用した製粉や稲の脱穀、籾摺りに活用されている。
後半は水車のエネルギーを活用した発電について詳細に説明している。日本独自の螺旋水車を活用した発電など、現在活用が進んでいる小水力発電とほぼ同じ議論が述べられている。著者の視点の鋭さに驚かされる。