石黒拡親『2時間でおさらいできる日本史〈近・現代史篇〉』(大和書房 2013)を読む。
著者は河合塾や早稲田予備校の講師であり、ペリー来航からサンフランシスコ講和会議までの流れが分かりやすく説明されている。教科書のように重要な内容は太文字ゴシックで強調されており暗記事項が分かりやすい。また、尊王攘夷運動や大日本帝国憲法、憲政の常道のおける二大政党の違いなど理解しにくい部分はシンプルな図や表で説明されており、チャート式に流れを押さえることができた。
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『日本史の謎は「地形」で解ける
竹村公太郎『日本史の謎は「地形」で解ける(PHP文庫 2013)を読む。
著者は歴史の専門家ではなく、東北大学工学部土木工学科を卒業後、国土交通省でダム・河川事業を担当していた技官である。そのため、河川事業や森林環境、海面上昇といった点から遷都や戦争について分析を加えている。
江戸幕府の拠点となった関東平野の干拓の解説や森林破壊に伴う平城京からの遷都など興味深い話が続く。
京都が日本の首都になった要因として、著者は中国や朝鮮半島からの距離をあげる。敦賀湾に上陸して、現在の福井県と滋賀県の県境の深坂峠を越え琵琶湖まで20km、琵琶湖を舟で渡り、そのまま瀬田川を下っていくと、現在では埋め立てられてしまった京都市伏見区付近の巨椋池にたどり着く。そこから鴨川に沿って高台まで歩くと3km。上陸後ほぼ舟だけで移動できる。また、京都から淀川を下ると、大阪湾を経て瀬戸内海に出ることができる。一見すると現在の京都は、大阪湾から奥まった内陸部に位置しているが、当時は日本海側と太平洋側の各地へ舟で行ける船運交流の中心地であった。
『倉敷殺人事件』
内田康夫『倉敷殺人事件』(光文社文庫 2003)を読む。
1984年に刊行された本で、本州四国連絡橋児島・坂出ルート(瀬戸大橋)開通前の土地開発がモチーフになっており、国鉄やら北陸特急雷鳥など懐かしい名前が登場する。丁寧に作り込まれた本格ミステリーであった。