米大統領候補で共和党候補の指名を確実にした不動産王ドナルド・トランプ氏が在日米軍基地を巡って、過激発言を繰り返している。「その国を守っているのだから、経費すべてを駐留国側に負担させるべきだ」「財政赤字を抱える米国に世界の警察官となる余裕はない。自動車産業で経済大国になった日本を、なぜ米国の経費で守らなければならないのか」。2004年の米国防省資料によると、日本は条約上の義務を超えて米軍の費用を負担する「思いやり予算」を支出しており、日本の負担は既に在日米軍経費全体の74.5%、基地がある自治体への交付金などを含めると7000億円を優に超える額に達している。
本日の東京新聞朝刊に、ちょうど自分が考えていたことと全く同じ内容のコラムがあった。まとめるのも面倒なのでそのまま引用しておきたい。
この要求は妥当なのか。元外務省国際情報局長の孫崎亨氏は「妥当かどうかを考える前に、日米安保体制を見直す、いい機会。トランプ氏はその主張を続けてほしい」と話す。
「米国には『日本の安保ただ乗り論』という誤った認識もあるが、日本駐留は米国の世界戦略の一環。『それならお引き取りを』と言われて困るのは米国だろう」と指摘する。
南沙諸島で中国が存在感を増しているが、日本から米軍が撤退しても東アジアの力関係は崩れないか。
孫崎氏は「南沙で日本は当事国ではなく、東南アジア諸国連合(ASEAN)が主体的に取り組むべき問題だ」と解説。その上で「尖閣諸島は、国交正常化したときに日中両国は領有権の棚上げで合意した。それに戻ればいい。北朝鮮は日本が攻める意思さえ示さなければ、問題は起こらない」と推測する。
安保問題に詳しい前泊博盛・沖縄国際大学教授も「米国に過度に依存している日本の安保や外交を議論するよい機会になる」とトランプ氏の主張を歓迎する。
「日米安保条約をよく読めば、米国が必ずしも日本を守る必要はなく『片務』とはいえない。日米地位協定で米国が負担すべき経費を、実際には日本が肩代わりしている。現状の日本側の負担が妥当なのか、日米安保が本当に効果的なのかを考えるべきだ」
ただ、トランプ氏の日本の核武装容認発言には「アジアを不安定化するだけで賛同しえない」と言う。
とはいえ、「日米安保」といわれると思考停止に陥りがちな日本の事情を指摘しながら「トランプ氏が自分の頭で考えて、素朴な疑問を言葉にしていることは評価すべきだ。米大統領にふさわしい人物とは思わないが、見習うべきところはある」と語った。