日別アーカイブ: 2016年5月25日

『大学の思い出は就活です(苦笑)』

石渡嶺司『大学の思い出は就活です(苦笑):大学生活50のお約束』(ちくま新書 2012)を読む。
「文科系トークラジオlife」で大学特集を聴いたばかりだったので、気になって手に取ってみた。
講義やゼミ、サークル活動だけでなく、資格取得や留学、居場所、ネット・ケータイ、読書、さらにはキャバクラでのアルバイトといった大学生活全般を、就活という視点から捉え、学生生活を実りあるものにするための著者の経験則が語られる。著者は地に足のついた「ふつうの学生生活を送れば就活もうまくいく」と考えており、いたずらな就活マニュアル本やインチキセミナー、ネット上の怪しげな口コミなどに振り回され、正解を求めてあたふたする付和雷同な姿勢を批判している。

 現代日本では経済状況が悪く、先行きがどうなるかわからない不安定な時代です。難関大に行って大企業に行けば幸福になれる、というわかりやすいレールがあった時代ではありません。これは難関大だろうが中堅大だろうがどの学生でも同じです。それなのに「社会が悪い」「(就職難を生み出す)企業が悪い」などとすぐ責任転嫁する学生がいます。こういう手合いはまず生き残れません。と言って、黙っているだけでもダメ。ではどうすれば生き残れるのでしょうか。その答えが教養です。
 自分の就活や学生生活、趣味などと直接関係がなかったとしても、本や漫画を読んでみることで教養が身に付きます。1冊読めばすぐ身につくものではありません。毎月、数多く読みこなしていくことで自然と身に付きます。身に付いてくれば、その教養によって我が身を守れる時が必ずあります。それは就活のときかもしれませんし、社会人になったあとかもしれません。
 違う視点、というのも重要です。人は誰でも一人で考えられることなどしれています。もちろん、家族や社会人、他大生と話すことでも違う視点を知ることはできます。しかし、いくら話好きでも話せる相手は限界があります。
 その点、本や漫画を読めば、手軽に違う視点を得ることができます。

「いま"大学のコストパフォーマンス"を考える」

life20160424

Podcastで配信されている、文化系トークラジオ Life「いま”大学のコストパフォーマンス”を考える」(TBS RADIO 2016年5月20日放送)を聴いた。
出演者の方々の個人的な経験から、大学に通う意義や、就活やサークル活動における学生気質、昔と比べた大学の社会的立ち位置の変化などが、3時間以上にわたって語られ続けた。ちょうど私と同じアラフォー世代が多かったので、20年前との大学の変化に関する話が興味深かった。
大学-特に文系学部-に高額な学費に見合うだけのリターンがあるかという刺激的な問いから、就活に特化した大学の存在意義や、出会いの場としての大学の可能性、奨学金の問題、大学で働く教育者の間の格差など話が広がっていった。大学に対する根強い「幻想」が良くも悪くも問題を複雑にしている点は理解できた。

『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』

arakawa

地上波で放映された、飯塚健脚本・監督『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』(2011 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)を観た。久しぶりに家のテレビであるが映画を楽しんだ。
テレビドラマ版を全く観ておらず、登場人物の背景など分からなかったが、観ているうちに、荒川河川敷に住む変人奇人の世界観に徐々に染まっていき、カットされている部分もあったが、最後は荒川に住む人物の一人になりきって楽しむことができた。
独特の時間が流れており、私の好きなタイプの映画であった。