石渡嶺司『大学の思い出は就活です(苦笑):大学生活50のお約束』(ちくま新書 2012)を読む。
「文科系トークラジオlife」で大学特集を聴いたばかりだったので、気になって手に取ってみた。
講義やゼミ、サークル活動だけでなく、資格取得や留学、居場所、ネット・ケータイ、読書、さらにはキャバクラでのアルバイトといった大学生活全般を、就活という視点から捉え、学生生活を実りあるものにするための著者の経験則が語られる。著者は地に足のついた「ふつうの学生生活を送れば就活もうまくいく」と考えており、いたずらな就活マニュアル本やインチキセミナー、ネット上の怪しげな口コミなどに振り回され、正解を求めてあたふたする付和雷同な姿勢を批判している。
現代日本では経済状況が悪く、先行きがどうなるかわからない不安定な時代です。難関大に行って大企業に行けば幸福になれる、というわかりやすいレールがあった時代ではありません。これは難関大だろうが中堅大だろうがどの学生でも同じです。それなのに「社会が悪い」「(就職難を生み出す)企業が悪い」などとすぐ責任転嫁する学生がいます。こういう手合いはまず生き残れません。と言って、黙っているだけでもダメ。ではどうすれば生き残れるのでしょうか。その答えが教養です。
自分の就活や学生生活、趣味などと直接関係がなかったとしても、本や漫画を読んでみることで教養が身に付きます。1冊読めばすぐ身につくものではありません。毎月、数多く読みこなしていくことで自然と身に付きます。身に付いてくれば、その教養によって我が身を守れる時が必ずあります。それは就活のときかもしれませんし、社会人になったあとかもしれません。
違う視点、というのも重要です。人は誰でも一人で考えられることなどしれています。もちろん、家族や社会人、他大生と話すことでも違う視点を知ることはできます。しかし、いくら話好きでも話せる相手は限界があります。
その点、本や漫画を読めば、手軽に違う視点を得ることができます。