日別アーカイブ: 2013年1月4日

『悪の教典』

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夕方に3時間ほど時間が空いたので、その空いた時間枠にたまたまララガーデンで上映していた、三池崇史監督、伊藤英明主演『悪の教典』(東宝 2012)を観た。
正直、あまりにショッキングな映像と音の連続で「観なきゃ良かった」と思った。普段は温厚な人物でありながらゲーム感覚で殺人を楽しむ快楽殺人者という筋立ては、アメリカのB級サスペンス映画ではよくあるパターンである。実際、猟奇的な犯人の残虐な性向や銃殺の場面をアメリカ人が演じるのであれば、あまり不自然なく眺めることができたと思う。しかし、海の向こうの風景を背景にしたものではなく、日本の高校生の日常生活と見慣れた教室や職員室を舞台にし、担任が生徒40人を次々に銃殺刺殺していくというのは、親近感を逆手に取った不快感しか生まれない。

スクリーンを観ながら、こんな嘔吐感を催すようなスプラッター映画が、R15指定の表示だけで日本のシネコンで公開されるということに驚きを禁じ得なかった。この映画を登場人物の設定と同じ年齢の高校生に見せてよいのであろうか。いや、殺戮を描きながら逆説的に生きることの尊さを醸し出す「芸術」作品が、大手から配給されるという日本の映画業界の懐の深さを賞嘆すべきなのか。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=10ssNsCJX2w[/youtube]

パンフレット研究:滋賀大学

何とも評価しにくい大学である。教育学部と経済学部の2学部あるのだが、交通の便も良く、それぞれ一定の評価を得ている。
1922年に設置された彦根高等商業学校と1875年に大津に設置された小学校教育伝習所の2つの流れが、戦後の教育改革で滋賀大学と看板を変えただけで現在も続いている。JR東海道本線の快速で40分足らずの距離だが、教員レベルでも学生レベルでも交流は薄く、教養教育も部活動、寮もそれぞれのキャンパスで完結している。

学長の佐和隆光氏自ら、「二つのキャンパスに分かれていることから、教育と経済という21世紀の日本を支える二本柱を学ぶ学生諸君がお互いに意見を闘わせる機会が少ないのを、私は遺憾に思っています」と冒頭で述べている。そこで学長は「情報通信機器を有効活用して両キャンパスの学生・教職員のコミュニケーションの緊密化を図」ると提言しているが、時間とお金の無駄であろう。

同じキャンパスで、同じ教室で、同じサークルボックスで飲み語ることにこそ大学生活の原点があるというのが私の考える大学のあり方である。その中で多彩な交流や幅広い教養と体系だった専門を学び、自分自身の力で自分を発見する場がキャンパスである。だから時間的にも空間的にもキャンパスは「度量」の広いものでなければならない。滋賀大学関係者には申し訳ないが、「一県一国立大学」の「駅弁大学」(大宅壮一)を生んだ戦後教育改革の残滓であろう。歴史的、地理的に分断された2つの学校間で連携を図るのは、どれだけ情報通信が発達しても意味がない。

いっそのこと彦根にある滋賀県立大学と、大津にある滋賀医科大学と大合併をして一大学となった方が、まだスケールメリットを生かせるのではないだろうか。従業員を何万人も抱える大企業が合併する時代である。県と国の垣根を越えることも難しくはないであろう。

パンフレット研究:高崎経済大学

1957年に高崎城跡地に開学した、比較的新しい大学である。wikipediaによると、戦後県内の師範学校や医学専門学校、工業高校などの官立の高等教育機関が前橋を中心とした群馬大学に集約され、高崎市が経済経営系の誘致を計ったが実現しなかったため、独自に大学設置となったようだ。
2000年には大学院修士課程、2002年に博士課程が開設され、現在では経済学科と経営学科からなる経済学部、地域政策学科、地域づくり学科、観光政策学科からなる地域政策学部の2学部で構成されている。

カリキュラムは極めて普通というか凡庸な内容となっており、少人数のゼミナールと充実した情報設備と英語教育、就職サポートが宣伝材料となっている。一番のセールスポイントは学費や家賃が安いということだが、都心の文系私大との差は百万ちょっとである。就職やサークル活動を考えたとき、100万円ちょっとの差をどうかんがえるか。

学長自ら「数少ない全国型公立大学として全国各地からのみならず国外からも多彩な学生が集まり、キャンパスは多様性に富ん」でいると謳っている。しかし、合格者のうち辞退率が50%から60%近くあり、必ずしも第一志望の大学とはなっていないようだ。また地元の推薦枠も少なく、付属高校からの進学者も少ない。都心の大学の後追いをしていては、公立大学という存在意義は薄れてしまう。全国型を追求するのであれば、むしろ群馬大学と合併というイバラの道も考えた方がよいのではないだろうか。

パンフレット研究:長岡科学技術大学

高等専門学校卒業生の受け皿として、1976年に開学した2校ある科学技術大学の一つである。ちなみにもう一つは豊橋科学技術大学である。両校とも3年時編入の高専卒業生が8割を占める特異な大学である。大学院進学率が9割を占め、2009年度の大学別就職率ランキングでは就職率97.1%で全国第1位となっている。

工学部の中に、機会創造工学、電気電子情報工学、材料開発工学、建設工学、環境システム工学、生物機能工学、経営情報システム工学の7学科と大学院研究科、そして社会人向けの専門職大学院システム安全専攻が設けられている。

高専卒業の意欲ある学生が大半なので、大学院修士課程との6年一貫教育が敷かれ、学部4年時の5ヶ月にわたるインターンシップや全国の高専との協働による「技術者育成アドバンストコース」など、技術者育成にとってこの上ない環境となっている。また、別冊で140近い研究室全てが1ベージ丸ごと紹介されている「学生が書いた研究室ガイドブック」もある。

普通科高校からの進学はほとんどないので、今の私の立場で参照することはないが、日本のものづくりの現場で、高専からの10年一貫教育で育てられた技術者が活躍しているという現実はしっかりと受け止めておきたい。

パンフレット研究:兵庫県立大学

聞きなれない大学だと思ったら、2004年に神戸商科大学と姫路工業大学、兵庫県立看護大学の3大学が統合された新しい大学である。経済学部、経営学部、工学部、理学部、環境人間学部、看護学部の6学部と12の大学院研究科を擁する規模の大きい公立大学である。

大学側は「統合による相乗効果と総合大学ならではのメリットを活かした新しい知の創造」を進めると鼻息荒いが、旧3大学の学部をそのまま引き継いだだけであり、各学部・研究科は県内各地に点在しており単なる寄せ集めの域をでないであろう。1年次は2つのキャンパスに集約してで全学共通科目が置かれているが、総合大学のメリットを活かすような特段の配慮は見られない。また、キャンパスが離れているため、他学部で開講される講義が受けられるよう「遠隔授業システム」が導入されているが、多分ほとんど活用されていないであろう。各学部別のパンフレットが用意されているのであろう、学部での専門科目の説明は省かれていた。

唯一統合のメリットを受けているのは、付属中学校・高等学校であろう。付属高等学校では理数教育や国際理解教育に重点が置かれ、海外学校との交流やSSH事業指定を受けるなど、エリート教育が実施されている。県立大学への特別推薦入学制度もあり。中高大の連携教育の今後が期待される。