夕方に3時間ほど時間が空いたので、その空いた時間枠にたまたまララガーデンで上映していた、三池崇史監督、伊藤英明主演『悪の教典』(東宝 2012)を観た。
正直、あまりにショッキングな映像と音の連続で「観なきゃ良かった」と思った。普段は温厚な人物でありながらゲーム感覚で殺人を楽しむ快楽殺人者という筋立ては、アメリカのB級サスペンス映画ではよくあるパターンである。実際、猟奇的な犯人の残虐な性向や銃殺の場面をアメリカ人が演じるのであれば、あまり不自然なく眺めることができたと思う。しかし、海の向こうの風景を背景にしたものではなく、日本の高校生の日常生活と見慣れた教室や職員室を舞台にし、担任が生徒40人を次々に銃殺刺殺していくというのは、親近感を逆手に取った不快感しか生まれない。
スクリーンを観ながら、こんな嘔吐感を催すようなスプラッター映画が、R15指定の表示だけで日本のシネコンで公開されるということに驚きを禁じ得なかった。この映画を登場人物の設定と同じ年齢の高校生に見せてよいのであろうか。いや、殺戮を描きながら逆説的に生きることの尊さを醸し出す「芸術」作品が、大手から配給されるという日本の映画業界の懐の深さを賞嘆すべきなのか。
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