全国童貞連合会長・渡部伸『中年童貞:少子化時代の恋愛格差』(扶桑社新書 2007)を読む。
著者の渡部氏は「全国童貞連合」なるサイトを立ち上げ、真面目な恋愛を通して童貞を失うことを目標としている人物である。著者は、近年の恋愛のあり方が自由市場主義がもたらす格差の拡大のように、一部のモテる男性のみが多くの女性と関係を持ち、一部のモテない男性はますますモテない環境に追い込まれていっていると指摘する。
1970年代以前、雇用と同じく、恋愛や結婚というのも、家族や上司の圧力、お見合いなどにより、一応誰しもが平等に享受するものであった。しかし、現在は恋愛や結婚も「自由化」され、ウィナーテイクオールの論理がまかり通っており、弱者に厳しい社会であると著者は述べる。
興味本位から手に取ってみたが、年収200万円以下の貧困層に童貞が多いという現実を考えると、恋愛は一個人の資質に問題ではなく、社会問題として捉えることが必要になってくる。