中野翠『この世には二種類の人間がいる』(文藝春秋 2007)を読む。
文藝春秋社のPR誌「本の話」2003年6月号~2007年3月号に連載されたコラムである。「『とっとく』と言う人と『捨てろ』と言う人」や「『ここ一 番』でうまくやる奴としくじる奴」といったように、人間を2つのカテゴリーに二分し、自分自身や、友人、芸能人、政治家などについてあれこれと論じるコラ ムである。最後に筆者は次のように述べている。
「この世には二種類の人間がいる」というタイトルをつけたけれど、ほんとうはそんなふうに思っていない。看板に偽りあり。たった 二種類の分類でおさまるはずがない。人間はもっともっと多彩だし曖昧だし混沌としている。そもそも私は人を評するのに、「-タイプ」「-系」「-派」「- 族」といった言葉を濫用する人は好きになれない。人をできあいの分類法で見て、勝手にどうこうとキメツケたり、型にはめたりして、「すべてあなたのことは 把握している」といった顔をされるのは、あんまりうれしいことではないものね。