平尾誠二『「日本型」の思考法ではもう勝てない』(ダイヤモンド社 2001)を読む。
元ラグビー全日本代表、元全日本監督の平尾氏が、監督在任中に、河合隼雄、古田敦也、神戸大学教授金井壽宏の3氏と行った対談がまとめられている。平尾氏というと、伏見工業高校時代に全国制覇した時の中心メンバーである。ちょうど私たち団塊ジュニア世代が小学校の時に爆発的なブームを巻き起こしたドラマ「スクール・ウォーズ」の元になったことでも知られる。
ダイヤモンド社刊行なので、スポーツの解説書ではなく、ラグビー全日本監督として、チームをどのようにまとめ、目標に向かって動かしていくのか、といったリーダー論となっている。野球やソフトボールといった攻守の順番が決められている球技は、監督の指示で動くことが多く、個々の選手が戦局を判断することがない。しかし、サッカーやバスケットボール、ラグビーといった球技は、攻撃と守備が瞬時に入れ替わる。そのため、個々の選手の状況を見る力、判断する力が求められるという。しかし、そうした個人の力はフィールドだけで培われるものではなく、教育や社会全体で、個人の動きを涵養する土壌を作る必要があると述 べる。