倉田真由美『だめんず症候群』(扶桑社新書 2007)を読む。
『週刊SPA!』で連載された「だめんず・うぉ~か~」で出会った女性の被害者談である。働かない男、暴力を振る男といった「だめんず」に流されてしまう女性について分析している。
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『深呼吸の必要』
テレビで放映された、篠原哲雄監督『深呼吸の必要』(2004 日)を観た。
宮古島を舞台にした、サトウキビ刈りの泊まり込みアルバイトに申し込んだ若者のたちの青春映画である。若者といっても20代~30代であり、皆日常の真っ当な生活から逃げてきた脛に傷を持つ者たちである。そうした若者たちがサトウキビ刈りというひとつの目的に向かいながら助け合いながら、やがて自分に自信を取り戻していく。
高校生を主人公にした類似の映画はたくさんあるが、無理に感動の場面を作ったり音楽で盛り上げたり演出が喧しい。それに比べ、この作品は淡々としているが、その分だけ小説を読むような雰囲気で自分自身と対話しながら観ることができる。印象に残る作品であった。こういう作品こそ映画館で観たかった。
『蜥蜴』
戸渡阿見『蜥蜴』(たちばな出版 2007)を読む。
ギャグをシャレをモチーフにした短編小説である。作家の半田晴久(本名)氏は多才な作家で、経歴だけで1ページが費やされている。
『行け!行け!テレビ東京・女性アナウンサー大橋未歩のミホちゃんねる!』
大橋未歩『行け!行け!テレビ東京・女性アナウンサー大橋未歩のミホちゃんねる!』(集英社 2006)を読む。
テレビ東京の人気のアナウンサーが番組HPや週刊プレイボーイで書き綴った取材の裏側やアナウンサーの仕事のことについてのエッセーがまとめられている。写真がかわいくてつい手に取ってしまった。
現役ストレートが多い女子アナ業界の中で、彼女は唯一「浪人」を経験している。彼女はその頃を振り返り次のように述べている。
まず「浪人してました」と堂々と言えるようになったこと自体が結構最近のこと。それまでは恥ずかしいという思いが先行してました。だってレンタルビデオ屋さんの会員になろうと思ったら、職業欄に「河合塾」って書くんですよ!? これも悩んだ末の苦肉の策。高校生でも大学生でも社会的な身分として認められるのに、”浪人生”という社会的身分は存在しないことを感じて、なんだか人生のレールを外れた気持ちになりました。だって当時の日記を読み返してみると、「死にたい」とか書いてあるんですよ(笑)今なら声を大にして言います。「お前はバカか」と(笑)。
人の目ばかり気にして、そもそも人生のレールなんてないことは、19歳当時にはわからなかったですよね。現役で合格するにこしたことはないし、決して楽しい1年間ではありませんでしたが、今では声を大にして言える。私にとってはいい経験でしたね。
だからこそ、ジャイアンツの上原投手みたいに浪人出身の人を見つけると、つい親近感がわいて応援したくなってしまいます。浪人時代の苦しさを忘れないためにつけた背番号「19」。日本球界のエースとなった今も、桜の季節はやっぱり思い出しているのかなぁ…。
また、番組の企画で新妻っぽい白エプロン姿やメイド姿になることについて彼女は次のように語る。
よく思うんですが、今の女性アナウンサーにとって”やらされてる感”を出すことってすごく大事だと思うんです。すでに記号と化している”女子アナ”の魅力なんて実は無価値で、価値を見出せるとしたら微妙なバランスの上にのみ成り立っているものだと思うんですよね。アナウンサーである私がメイド服をノリノリで着た瞬間から、着る意味なんてまったく存在しなくなると思うんです。
人気の女子アナ自身が、女子アナは「記号」という存在であると述べるのは、なかなか鋭いことだと思う。そうしたプロフェッショナルに徹し、会社サイドの使命というかサービス精神を意識して仕事しているというのは素晴らしい。
『袋小路の男』
第30回川端康成賞受賞作、絲山秋子『袋小路の男』(講談社 2004)を読む。
マイペースな男への恋を描いた表題作の他、その続きを描いた「小田切孝の言い分」、中年男と姪の女の子との手紙のやりとりを描いた「アーリオ オーリオ」の2作が収められている。
読みやすい文章で最後まで飽きさせなかったが、特に感想もない。一週間後には読んだ内容は全く頭に残っていないだろう。