月別アーカイブ: 2010年9月

パンフレット研究:花園大学

今年も一応受験生を担当しており、昨年に続いて大学のパンフレットを少し読んでいこうと思う。今回は京都編である。

花園大学は、1872年に臨済宗各派により創設された子弟教育機関を源流として、1911年に臨済宗大学となり、1934年創立の臨済学院専門学校を経て、1949年に新制大学となった歴史ある大学である。仏教学部仏教学科だけであったのが、1964年に仏教福祉学部が設置され、さらに66年には史学科、国文学科が設置され、現在では、国際禅学科、日本史学科、文化遺産学科、日本文学科、創造表現学科からなる文学部と、社会福祉学科、臨床心理学科、児童福祉学科からなる社会福祉学部で構成される。東京西巣鴨にある大正大学と似たような学部学科構成となっている。

パンフレットを読む限り、昨年来、延々と手に取ってきた郊外型大学と大差ない。その中で、「京都学科」とでも名付けてもよい文化遺産学科が興味深かった。京都市内にあるという地の利を生かし、美術史学や民俗学だけでなく、考古学や地域文化論まで幅広く学ぶことができる。
パンフレットを見ると、社会福祉学部教授に「夜回り先生」の水谷修氏、文学部教授に夏目房之介、玄侑宗久、花村萬月氏が各員教授に就任している。しかし、実際に授業を担当するというより、公開講座のみの人寄せパンダの役を担っていると思われる。その中で、作家玄侑氏は、臨済宗寺院の長男として生まれ、現在も臨済宗の中で一番勢力の大きい妙心寺派の委員を務めている関係で講座を持っているのだろう。

そもそも臨済宗は中国唐代の禅宗臨済義玄によって開宗され、栄西によって12世紀末に日本にもたらされたものである。座禅を組みながら師の与える公案を解決して悟りに達する看話禅を特徴としている。宋代以降、禅の主脈は日本に移ったため、現在では日本が世界の禅の研究の中心を担っている。

『バイオハザード:レジデントエビル』

テレビで放映された、ポール・W・S・アンダーソン監督『バイオハザード:レジデントエビル』(2002 米)を観た。
単なるゾンビ映画であった。映画を観ながら、なぜアメリカ人はゾンビなる「生ける屍」が好きなのであろうかという疑問を禁じ得なかった。

『偽装狂時代』

爆笑問題『偽装狂時代』(幻冬舎 2006)を読む。2004年の春から2006年の春まで雑誌『サイゾー』に連載された時事ネタ漫才である。いかりや長介氏の逝去や年金未納問題、北朝鮮拉致事件など懐かしく読むことができた。
あとがきの太田光氏のコメントが印象的であった。

私はこの時代に、自分がこの世界で生きることに対してこれまで以上の違和感をハッキリと抱いた。この世界の価値観と、自分の価値観が違うということを感じた。そして自分が少数派であるということを知った。
それは嫌な思いであったのと同時に、今まで眠っていた自分が目覚めたような、今までわからなかった自分の形がわかったような、そして自分の敵が誰なのかようやく知ったような、そんな感覚だった。だからこの時代のことは恐らくこの先忘れないだろうと思う。

『カツドウカ、社会へ 湯浅誠の若者塾』

日本テレビで放映された、NNNドキュメント『カツドウカ、社会へ 湯浅誠の若者塾』を見る。
デモを呼びかけたら3人しか集まらず、警備にあたる警官の方が多かったという「逸話」など、興味深く見ることが出来た。ビラの作り方や、記者会見のやり方 などをレクチャーし、社会の変革の先頭に立つ「ヒーロー」であるカツドウカを育成しようという試みである。批判的な感想を持つ人もいるだろうが、暖かく注 視していきたい。

『晏子:第一巻』

宮城谷昌光『晏子:第一巻』(新潮文庫 1994)を読む。
春秋時代の斉の国の大夫である晏弱を主人公として、隣国の晋との争いや各国の大夫同士の戦局の読みや駆け引きを描く。宮城谷氏の読みやすくも読者を引き込むような筆力に圧倒された。