司馬遼太郎対談集『日本人を考える』(講談社文庫 1978)を読む。
10数年前に大学のサークル部室に転がっていたのか、大学の先輩から貰った本なのか忘れたが、ぷーんとした匂いが漂うかなり古い本である。
1969年から71年にかけて、作家司馬遼太郎と当時一流の評論家や学者との対談集である。梅棹忠夫、犬養道子、高坂正尭、陳舜臣、桑原武夫、今西錦司など、蒼々たる面々と司馬氏が、明治大正期の日本人や当時の全共闘の若者気質などを喧々諤々と論じ合う。
司馬遼太郎氏は、歴史の偉人を多数描いているので、右寄りな国家主義者なのだと私は勝手に思い込んでいた。しかし、司馬氏は、戦国時代や徳川時代といった 旧弊を打ち破っていくのは、常に儒教的社会を否定し、自らの理想を突っ走っていく若者であり、そうした若者に嫌われながらも成長を見届ける成熟した社会の あり方を口にする。
司馬氏の作品をもっと読んでみたいと思った。
『日本人を考える』
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