本日の東京新聞夕刊の訃報欄で、古筆学者小松成美氏の逝去が伝えられていた。
私の十数年前の大学の学部入学式というお祝いの席で、1時間近くに渡って専門の講義を続けた強者で、大変印象に残っている。
氏は古筆学という新しい学問を唱え大成させた人物として知られる。古筆学は中世や中古の文学作品の写本について筆跡の研究から筆者や年代を特定する学問である。せっかくのありがたいお話であったが、話の後半に入ると、私の周囲の学生だけでなく、壇上の教員も船を漕いでいた。その光景が記憶の片隅に今でも残っている。
どんな場であっても、顰蹙を買おうが、自分の学問については自身を持って語る、大学教授の矜持を感じた一時であった。
本日の東京新聞夕刊の訃報欄
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