小林よしのり『戦争論3:新ゴーマニズム宣言SPECIAL』(幻冬舎 2003)を読む。
朝日新聞的な戦後民主主義を謳歌する反戦チワワなサヨクを批判し、その刀で産経新聞的な親米ポチな保守を斬る。そして「国=公」のために命を捧げた特攻隊の武士道精神に見倣うべきだと懇々と説く。
イラク戦争は正義なき一方的な侵略戦争であると糾弾するだけでなく、大航海時代以降、他国を侵略し続けることで国を維持してきたアメリカの構造的な欠陥であると分かりやすく述べる。
論理が繋がっておらず、「そういうお前は一体何者だ」とつっこみどころ満載なのだが、派手な絵とゴシック体の台詞を用いて、勢いで自説を展開する。先日の佐高氏が述べていた「生理」感に溢れているのは事実だ。
作者は後書きで次のように述べる。
この『戦争論3』で、わしは今、アメリカが行っている戦争が、国際社会のルールを破壊する蛮行であり、過去から一貫して続くアングロサクソンの侵略と収奪のDNAに基づくものであることを明らかにした。
その道義なき戦争に荷担することは決して日本の国柄に沿うものではなく、とりあえず暴力団についていけば喧嘩もできる普通の国になる、などという醜悪な意見を、親暴力団保守派(=親米保守派)が口にするのは驚嘆すべき事態である。本書を再読して我々の先人たちが、いかに潔癖であったか、いかに道徳的であったか、日本の何を守ろうとしていたのか、理解して欲しい。
日本は独立しなければならない。あくまで最終事態を設定した自主防衛の構えを作らなければならない。