佐高信・福島みずほ『神は「憲法」に宿りたまう』(七つ森書館 2004)を読む。
憲法論議はあまりなく、これまでの佐高氏や福島さんの対談や講演をまとめただけのものである。内容は興味深かったが、企画としては失敗であろう。
佐高氏は社民党の護憲運動について次のように総括する。
例えば、辻本清美問題の記者会見のあとに話していたら、(カタログハウス社長の)斎藤さんから「論理で正しくても、生理に届かないと人は動かない」って言われたんですよ。なるほどなと思いましたね。『週刊金曜日』が出して売れた『買ってはいけない』という本も、生理に届いているんですよね。論理を超えて生理に届くような言葉を生み出さないといけないわけでしょ。あえて言えば、自己批判を含めてだけど、護憲側の運動って論理にとどまっていたんだと思うんです。言葉が生理に届かない。
さっきの南アフリカの話(カタログハウスの『通販生活』に掲載された、「コスタリカにコーヒーを」というコスタリカ憲法を支えようという意図で発せられたスローガン)は、ちょうどそこに踏み込んだかな、っていう感じなんですよね。
そして福島さんは次の言葉で締めくくる。
日本国憲法を六法全書のなかに閉じ込めないで、憲法が息づく社会を作っていくことが、本当に求められています。新しい権利である環境権や知る権利などは、法律(たとえば、環境基本法や情報公開法など)にきちんと入れれば済むことです。新しい権利をダシにして改憲をもくろむのは、全くの筋違いです。憲法の様々な価値をあらゆる場面で生かしていくことを元気にやっていきましょう。