本日の東京新聞朝刊に「おやっ」とするようなコラムが載っていた。堤未果さんというジャーナリストの「本音コラム」と題した文章である。途中少し読みにくい箇所があり、誤字?(「国境を超え」)という部分もあるが、非常に視点が良いので引用してみたい。
世界に波及する金融危機は本当にアメリカ型モデルの終焉と言えるだろうか。米国ではCIAなどの国家諜報活動の民営化が拡大している。
1千億ドルの民間軍事業界と並ぶ5百億ドルの巨大市場「諜・産複合体」だ。5月、世界最大規模の投資ファンドのカーライルグループは「テロとの戦い」の名の下に国民の情報監視・収集を行なった大手諜報企業ブーズ・アレン社の政府部門を買収した。諜報企業を次々に買収するカーライルは世界中のファンドに魅力的な投資先だ。住宅バブルで破綻したサブプライムローンと違い、見えない敵への恐怖が需要を生み続けるからだ。
だが、民営化された諜報業務では、拷問合法国への対象者移送の速さとその効果が重視され、スパイ活動でのメールや電話の監視・分析は利益の対象になる。アブグレイブ刑務所で囚人たちに拷問を行い起訴された尋問派遣社員も、会社から優良社員とみなされた。初めに民営化があり、司法はその後からついてくる。
7月に大統領が署名した盗聴に関する外国情報監視法改正案は、米国情報機関の令状なし盗聴対象を全世界の通信にまで拡大した。通信技術が国境を超え、監視される当事者との傍観者の間の境界線もその存在を消した。携帯で有名なウィルコムもカーライル傘下にある今、人権という共通項で連携し、身を守る必要がある。
戦争、監視体制の民営化は映画やアニメなどで数年前から指摘されてきたことであるが、『ミッション・インポッシブル』のような情報コントロールが現実化しているのかと思うと薄ら寒い。ジャーナリストの堤未果さんであるが、ネットで調べたところ、今春川田龍平さんと結婚し、現在も米国と東京を行き来して執筆や講演活動を行なっている才媛だそうだ。近いうちに選挙にでも出て来そうな人物である。