三島由紀夫『仮面の告白』(新潮文庫 1950)を読む。
三島氏の自叙伝という形をとっており、男性のもつ死に彩られた悲劇性や英雄性に憧れる自分の性癖をあますところなく暴露する。一般に男性は、女性を意識することで、必然的に自らの男性性を意識するのであろう。しかし、三島氏は女性をセックスの対象として意識することが出来ないため、ことさら恋や愛、また接吻や結婚の意義を自らに納得させるために理論武装しなくてはならない。そうした内気な青年ならではの自らに問いかける説得が読者の共感を誘う。倒錯した性意識を描きながら青年の成長という一般テーマにつながっている。
『仮面の告白』
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