鳥居万友美『FXで月100万円儲ける私の方法』(ダイヤモンド社 2007)を読む。
バブル時代に暗躍した一夜成金の株長者が書いたような中身の薄い本である。額に汗水垂らして働くことを根本から否定してかかるような発言もあり、読んでいて腹が立つ。労働の対価として金を手に入れるのではなく、商品としての金をただネット上の画面の中で転がすだけで金を手に入れるのである。牛骨粉を食べさせられて自然の摂理を越えて太らされる肉牛の哀れで厭らしいイメージがよぎる。以下は著者が主宰するFX仲間の発言である。
たとえば宝くじで当たって大金を得たとしても、使っているだけではいずれなくなってしまうし常に減っていく不安につきまとわれます。それに対して、FXで稼ぐ方法を身に付ければ、自分でお金を生み出すことができるようになります。「お金」を求めるのではなくて、「お金を生み出す力」を手に入れる。そうすれば、とにかく自由になれると思います。別に生活を変える必要もなく、それまでと同じままで、自由になれ、心に余裕ができて、人にも優しくなれる。最初の一歩を踏み出す勇気があれば、周りの景色ががらっと変わるかもしれないんです。