板倉雄一郎『おりこうさん おばかさんのお金の使い方』(幻冬舎 2005)を読む。
著者板倉氏は、高校を卒業後、ゲームソフト会社を設立し、91年には、3つ目の会社「ハイパーネット」を設立し順調に業績を伸ばし、栄えあるビジネス賞を総ナメにし、ビルゲイツとも商談、そして、日経新聞の一面を飾るも、97年負債総額37億円で破産したという異色の経歴を持つ。
本書では胴元が必ず儲かる仕組みになっているギャンブルやハイリスクな金融商品、また短期的な利回りに目がくらみ長期的な物の見方ができない人、専業デイトレーダーとなって身を持ち崩してしまうなど、マネーゲームに翻弄される人や社会に対して、あくまで正論で批判を加える。実態経済価値とマネーの乖離が乖離し、通貨そのものに投資して稼ぐような今の世相を嘆く。
「金だけいじくって」年に数千万円、数億円稼ぐ人がいます。自動車会社で、新型エコロジーエンジンを開発し、年収数百万円の人もいます。社会に対して提供した実態経済価値において、前者は、後者より、十倍も二十倍も「えらい」のでしょうか?
(前略)価値を生み出すのは、お金じゃない、人なのです。