影山貴彦『社会人大学生入門:社会人だからこそ楽しめる』(世界思想社 2002)を読む。
近年、生涯学習の進展により、通信制大学や夜間大学院など社会人向けの「学び」の場が増えている。しかし、その中身は「高度職業人養成」を目的としたもので、MBA取得やロースクール、ビジネススクールなど、資格取得や実務直結の「学ばされる」勉強が過半数を占める。会社のため、将来のために、睡眠時間を削り、家族との触れ合いも減らすガンバリズム一直線の生活を強いられるのが通例であった。しかし、著者は、「時間を有効に使うのだ!」と肩ひじを張って大学院に行くのではなく、日々の生活の中で置き忘れてきたちょっとした向学心や、年齢を重ねる中で見えてきた分からないことを見つけに行く場と捉え直してよいのではないかと述べる。
みなさんも「忘れもの」を取りに行きましょう。「社会人大学院」は、みなさんの忘れものがちゃんと置いてある場所なのです