日別アーカイブ: 2005年1月10日

『デジタル・キャンパス』

松岡一郎『デジタル・キャンパス』(東洋経済新報社 2001)を読む。
これまでの講義室で白墨とテキストだけで成立していた文系学部の授業のあり方自体が、情報技術によって変容を迫られていく実態が詳細に述べられている。
急激な少子化によって大学は18歳〜22歳の学生だけを集めていては生き残れない。昼夜開講制の大学院や通信制大学・院で、20代後半の学生や社会人学生の再教育、生涯教育の充実化が迫られている。すでにアメリカに世界中で数万人も学生を集めている通信制大学があり、「黒船」の来襲もすぐそこまで来ている。

しかし、一方でインターネットを介したマルチメディアだけで教育は成立するものではない。いたずらなバーチャル・ユニバーシティへの移行は、大学という「場」が解体され、やる気もない引きこもり的な学生が生み出すだけである。