養老孟司・古館伊知郎『記憶がウソをつく!』(扶桑社 2004)を読む。
古館氏の実況中継の時などにふと出てしまう言い回しや、日常生活での思い出話に対し、養老氏が現在判明している段階での脳科学研究者の立場から解説を加えるという形で進行する。中でも、視覚や聴覚といった情報は、全てヒトの大脳新皮質で処理するため言葉で表現しやすいが、味覚や臭覚はヒトの脳内の情動を司る扁桃体に入っていくために、そもそもヒトは味覚や臭覚を言語構成できないという養老氏の指摘は興味深かった。1916年に心理学者のヘニングという学者が人間は甘い、苦い、酸っぱい、塩辛いの4つしか味覚として認知できないということを発表し、それが今日までほぼ通説となっている。しかし、テレビのグルメ番組などを見ると、「さっぱりとした甘さ」や「ほのかに香る何ともいえない風味」など分かったようでよく分からない表現を耳にすることが多い。これらの表現などは
『記憶がウソをつく!』
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