少々古めの小論文の参考書をひも解いてみた。
板坂元『何を書くか、どう書くか:知的文章の技術』(光文社 1980)を読む。パソコンワープロ普及以前の作文技術となっており、カードを利用した発想法を含めて、トータルに文書を考えて文字に表現するまでを述べる。
扇谷正造『現代文の書き方』(講談社現代新書 1965)を読む。
元新聞記者である著者は、新聞のコラムの基本である600字作文を繰り返すことが文章上達の近道であると述べる。400字だと文章の主旨の骨しか組めないし、800字だと飾りとなる肉が多すぎて「情報化社会」(古い表現であるが…)においては冗長になりすぎる。ちょっと味の利いた要旨簡潔な文章は600字が一番良いと著者は述べる。
文章の書き方に関する本をここ数日何冊か読んでみたが、現在の小論文指導には二つの潮流があるようだ。一つはアメリカ型の文章指導や新聞の記事などに代表されるような「序論・本論・結論」型の3段落構成である。序論においてトピックを示し、そのトピックを一般化、深化させていく展開を取る。もう一つは漢詩の絶句に見られる「起承転結」型の4段落構成にまとめる文章である。最初にトピックを示すことはなく、読者に興味を持たせながら結論まで展開していく。前者が演繹的な展開になりやすいのに対し、後者は帰納的な流れに落ち着きやすい。こうした大きく二つの文章の捉え方が入り組んで現在の小論文指導があるようだ。どちらが良いともどちらが正しいとも言えないが、短期間における小論文指導では自分の書きやすい型をまず作らせるべきであろう。