花村萬月『自由に至る旅ーオートバイの魅力・野宿の愉しみ』(集英社新書 2001)を読む。
ツーリングに魅せられた芥川賞作家の花村氏が「一人旅」のススメを説く。思えば今年は、私自身高校を卒業してから初めてバイクのない夏を迎えることとなる。高校を出てからの過去12年間の夏はいつもどこかしらへツーリングに出かけていた。そこで自分自身の来し方行く末を見つめ直し、新たな英気を得ていた。車で一人でドライブに行く気もしないので、今年の夏は買い物用の自転車でどこかへ出かけようか策略中である。
学生は、いま、即座に、躊躇わず旅にでなさい。それができる状態にあるのですから、旅立たないのは無様であり、怠惰です。当然ながら学校に行くよりもよほど勉強になる。予備知識は捨ててしまいましょうね。見たままでいいのです。それこそが生きた地理の勉強であり、歴史の勉強であり、人間に対する勉強です。本にこう書いてあったと主張するよりも、俺は実際に見てきたんだよ、の一言が絶対的なる神の言葉であります。書物は素晴らしいけれど、所詮は他人の主観、真に受けない能力を鍛えるためにも旅立ちなさい。