童門冬二『新撰組:物語と史蹟をたずねて』(成美堂 1994)を読む。
薩摩・長州による維新達成した側の視点から新撰組を描いているので、新撰組のカリスマ性や一徹さよりも、残忍性ばかりが強調されてしまう内容になっている。「恐怖だけが、隊の結束を固める」という土方歳三の言葉に象徴されるように、幕府の形成が明らかに不利になって以降は、70年代前半の新左翼党派の内ゲバ闘争のような様相を帯び始める。「純粋なやつほど早くほろびるという人間社会普遍の真理を、新撰組の軌跡の上で実証したかった」と作者はあとがきで述べるが、新撰組の行動で美談とされる純粋な思いは最後まで理解することが出来なかった。
『新撰組』
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