障害児教育原論スクーリングテスト
学齢期の障害児に対する地域支援について検討せよ。
2001年1月15日に文科省より出された「21世紀の特殊教育の在り方について」の中で「教育、福祉、医療、労働等が一体となって障害のある子ども及びその保護者等に対して相談や支援を行う体制を整備すること」と提言されている。また2003年3月28日に出された「今後の特別支援教育の在り方について」の中においても障害種別に対応して設置されている現在の盲・聾・養護学校を障害種別にとらわれない「特別支援学校」とし、教育現場への療育や医療などの関連する分野の専門家の参画、さらには障害福祉圏などとの整合性をもった「支援地域」「(行政間の)部局横断型の委員会」の設定、就学前から学校卒業者までの一貫した相談体制の整備、「個別教育支援計画」の策定などが提言されている。これまでばらばらであった教育、福祉、地域の壁を破って有機的な連携体制の構築が求められている。
最近まで日本では特に学校の壁が厚く、地域や福祉との連携がうまく行っていなかった。文部科学省や厚生労働省、都道府県・市町村の地方自治体の行政の側の連携が欠けていたこともあり、個別の取り組みに終始していた。そのため障害児一人一人のニーズに沿った教育や、人生の各段階を連続して支援する体制が作られてこなかった。
しかし、欧米を中心に「ノーマライゼーション」や「インクルージョン」の考え方が日本に入ってきて、日本でも地域全体で障害児を支えようとする動きが定着しつつある。しかし、せっかくの「ノーマライゼーション」も理念ばかりが先行して具体的な実践が伴わないのが実態である。そこで上記の「今後の特別支援教育の在り方について」の中では、こうした地域と教育、福祉の連携の構築の責任者として「特別支援教育コーディネーター」の位置づけを提起している。この「特別支援教育コーディネーター」とは、「特別支援学校としての地域での役割を踏まえ」た「関係機関の連絡調整」を担うものとされている。つまり内々に問題を処理しがちな学校の閉鎖的な壁を破り、養護学校卒業者の就労の確保の取り組み、地域の社会福祉協議会や地域団体や福祉施設との連絡、相談、支援のパイプ作りが期待されている。
具体的に、放課後に障害児を預かる「レスパイトサービス」や障害児学童保育との障害児の連絡、障害児移送サービスやグループホームとの連携、地域のスポーツ少年団やボランティア団体とのより一層の交流の進展など、学校と地域、福祉を結ぶ連携体制のコーディネートの実践が要請されている。
とりわけ、LDやADHD、高機能自閉症などの児童生徒への個別の支援教育の充実という方向性を鑑みるならば、授産施設やグループホームなどのハード面、そしてデイケアサービスや在宅介護などのソフト面の充実は急務である。